捧げ物、頂き物

□バカップルの法則
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ゲートの向こう側からは甲高い叫び声と誰がのはしゃぐ声、音楽などが混じり合って聞こえてくる。

そう、ここは遊園地。

二人っきりで今日デートのため此処に来たはずなのに…。

「何でキミが」
「此処にいるんだよ!」

火神が指差した先には赤司が、赤司が見た先には火神がいた。

すぐさま火神が黒子に詰め寄る。

「おい黒子どういうことだ!」
「何のことですか?僕知りませんよ?」

しらを切る黒子は相変わらずのポーカーフェイス。
赤司は何となく察したようで降旗を見る。

「光樹…」
「えへへ…、ごめん」

多少すまなそうに謝りはするが、どうやら黒子と降旗が仕組んだことらしいのはわかった。

「まぁ此処で会えたのも何かの縁でしょうし、一緒に回りましょうか」

何かの縁と言うより仕組んだ縁ではあるのだが…無粋なことは誰も言わずにいた。
黒子がパンフレットを広げると降旗がひょっこり覗き込む。

「どこに行く?」
「此処なんてどうでしょう?」
「あ、でもこっちも面白そう!」
「そうですね」

楽しそうに笑顔の黒子を降旗を見ているとこっちのギスギスした気持ちもどうでもよくなってくる。寧ろだいぶ緩和されていた。
赤司は二人(主に降旗)から目を離さず火神に話しかけた。

「まぁ…許そう。光樹が幸せそうだし」
「…確かにな」

火神も同じことを思っていたようで思わず火神は吹き出した。

「火神君!」
「赤司行くとこ決まったよ!」

とりあえず降旗が指差した所に行くことが決まった。





降旗が行きたいと言ったのは空高くで回る空中ブランコだった。
かなり人気らしく並ぶが回転率が早かったのですぐに順番が回ってくる。

二人乗りブランコのペアは勿論火神と黒子、赤司と降旗でちょっと離れた所に座った。

「楽しみだね!」

降旗が笑顔で赤司を見るから赤司も自然と笑顔が零れる。
アナウンスと共に足が宙に浮き、上に上がって行った。

遊園地を見下ろせるくらい上がった頃、急に回転し始める。

近くの海や建物、遊園地のアトラクションがよく見えるのだが、そこは遊園地。ブランコとはいえかなりのスピードで回る。

腕を組んでそれを見た赤司の感想は

「人がゴミの…」
「赤司それは言っちゃ駄目」

思わず降旗が止めてしまうような内容だった。曰く赤司が言うとシャレになんない、だそうで。

一方火神と黒子はむしろ景色より回転のスピードが楽しいらしい。
ただ言うなれば上記に上げた通り、かなりのスピードの為と空中な為風が強い。

「流石にこの高さだと寒いですね」

身を縮こませた黒子に火神はくっついている座席から手を伸ばして、黒子の手を握った。

「じゃあこうしてればいいだろ?」

少し頬を赤く染め、黒子は…はい、と言って握り返した。

数分間の空の旅を終え、地上に戻れば人の目を気にせず赤司と降旗も手を繋いでいた(降旗は真っ赤だったが)。





その後も様々なアトラクションに乗り続け、ついに大取りにやって来た。
日本でも五本の指に入るだろうこのジェットコースター。

長々と続いていた列に並び、乗り込んだ頃には夕方になっていた。

厳重にレバーとシートベルトをしてジェットコースターは動き出す。
ゆっくりと上り始め頂上に近づくと火神が下を見て呻いた。

「うげ、高…」
「何今更びびってるんですか火神君。もう逃げれませんよ」
「そうだぞ。逃げようと思えばいけると思うが」
「レバーあるのに!?しかもこの高さで!?」
「そりゃムチャじゃ…うわぁ!!」

油断していたが此処は頂上。

上がったら下るわけで急斜面を一気に下り始める。

重力が身体にかかりスピードを出して回ったり、逆さまになったり、またも下ったりしていた。
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