捧げ物、頂き物

□平凡な君に恋をした
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曖昧の関係のままで本当にいいなら、こんなに胸は切なくならないのに。


冷たい冬の風が頬を掠めて、吐いた白い息で両手をこすった。
街はイルミネーションでキラキラしていて街路樹まで彩られている。
魔法をかけたみたいなその風景を光樹と二人で歩く。


この一週間でわかったことがある。
もう嘘はつけない。
キミじゃなきゃダメなんだ、と心が叫んで止められないんだ。


初めてだった。
WCの開会式の時初めてボクらは出逢い、彼は酷く怯えていた。
それでも逃げることはしなかった。
ボクの命令に逆らう奴なんて初めてだったから興味をもった。
最初はただそれだけだった。

だからテツヤからアドレスを聞いて彼を呼び出すようになった。
初めて言葉を交わした時から胸の奥がずっと疼いていた。

最初こそ光樹は狼狽し、怯えていたが次第に笑顔を向けてくれた。その笑顔が心が癒やされるような気がして。
ただ笑ってくれるだけで、ボクは果てしなく幸せになれた。

「光樹?」

何も喋らない半歩後ろを歩く光樹を振り返れば強張った頬を無理やり上げてるようにして光樹は笑うとボクの横をすり抜ける。

「何でもないよ」

そう答えた途端にふわりと舞い降りてくる雪に触れたら溶けて消えた。

まるで何かの表れのように。

それはボクの想いか、他の何かか。



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