捧げ物、頂き物

□バニラと兎と小さな君
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「あなた、だれですか?」

拝啓秋田にいる辰也や誠凛の皆。

部屋がいきなり煙に覆われ、ようやく晴れてが黒子がいた所に知らない子供がいた時、俺はどうすればいいんだ、ですか。


ふわふわの色素の薄い水色の髪、何処か消えちまいそうな影、そんで見上げてくる大きな瞳。

どう見ても見覚えのある顔の子供。

俺、さっきまで黒子といた筈だよな…。
一体何が起こったんだ?

キョロキョロと周りを見回していたが子供が僕の存在に気がついて、冒頭に戻る。

「お前…、何て言うんだ?」
「くろこてつや、よんさいです」

何処かぼーとしているけど可愛い…!
でもやっぱり間違いない。

コイツは正真正銘俺の影、黒子テツヤ…の4歳の頃らしい。

「あのおにいさん、名前は?」

コテンと首を傾げて俺を興味津々に見上げてきて、抱き上げてみるとやっぱり軽かった。
怖がらせないよう出来るだけ笑ってみる。

「火神大我ってんだ」
「からみくん」

どうやらこの頃の黒子は滑舌が悪かったらしい。
またそれも愛らしいのだが。

「火神だ火神。言いにくいなら大我でもいいぞ」
「たいがくん」
「よっし!」

にしてもこの部屋何処だ。俺の部屋じゃないってことは、

「ここテツヤの部屋か?」
「はい。きょうおとうさんとおかあさんはおしごとです」

恋人の贔屓目なしにでもこんなに可愛いんだ。
いくら影の薄い黒子でも攫われかねない。

「テツヤ…。そういうのは知らないの奴に言うなよ」
「たいがくんはしらないひとじゃないです。なまえもしってます」

何故かドヤ顔で答えるテツヤ(高校生とわかりにくいからなこっちで書くぞ)に心配になる。
ってかこの時すでにこんなに考えまわるのかよ。
…まあ大丈夫か。黒子だし。

「たいがくん、ぼく、そと行きたいです」
「あ、でも勝手に家出て大丈夫か?」
「ふたりはろくじまでかえってこないのでだいじょうぶです」

時計を見て数えたテツヤはせがむように俺の服を引っ張る。

「じゃあ行くか!」

とりあえずわかったことは、俺は12年前にタイムスリップしてしまったらしいことだ。





やっぱり外に出て見ると幾つかは見たことないのもあった。

下でテツヤが小さな足で着いてくる。
いくら俺が緩めて歩いてるとは言え、正直大変そうだ。

「テツヤ」
「なんですかたいがくん」
「ほらよっと!」
「わっ…!」

テツヤを持ち上げて肩の上に乗せれば弱い力で俺の髪を掴む。

昔親父か誰だったか忘れたが小さかった俺を抱き上げた時、世界が一気に広がったような気がした。

一瞬怖がるか?と思ったがテツヤは歓喜の声を上げた。

「すごい…!すごいですたいがくん!」

まあ何とかショップについた。
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