捧げ物、頂き物
□運命感じちゃって下さい
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いやだよ、離れたくないよ。
また会えるよ。必ず。
…また、会える?
ボク、キミを見つけるのは得意だったろう?
必ずまた見つけるから。
それまで待っててね光樹。
記憶の中で赤い彼が笑う。
彼は遠い昔、離れ離れになってしまった幼なじみだった。
「降旗君幼なじみいたんですね」
黒子は感慨深げに頷く。
ふとそんな会話になって俺は優しかった幼なじみを思い出す。
臆病な俺の手を引っ張って外に連れ出してくれた強くて優しい俺の幼なじみ。
彼の髪は日本人には珍しい色をしていて俺はその色がお気に入りだった。
見惚れる程綺麗な赤色。
彼自身はあまりその色が好きではなかったみたいだけど俺はその色が大好きだった。
そんな彼と別れてしまったのは小学校三年生の頃。俺の親の転勤で東京を離れた。
そして中学校二年生で東京に帰って来た。
「彼とは連絡は取っていないんですか?」
「それが別れたのが小学校だから連絡先がわからなくて。多分あっちはわかってるかもだけど俺はわからないんだ」
あの時ムリヤリ考えさせられた8桁の数字があった。
何でかわからないけどメモが取ってあってその番号を俺は携帯の番号にした。
頭の良かった彼ならわかるかもしれないと願って。
「でもまぁ偶然でもない限りかかって来ないだろうけれどな」
ピリピリピリピリピリ
「うおっ!って電話か。アレ?」
俺は登録してある電話はお気に入りの曲が流れる筈なのに今流れているのは無機質な着信音。
画面を見れば非通知と書かれいて。
ドキッと心臓が高鳴る。
さっきまであんな話をしていたからもしかしたら、何て思ってしまう。
非通知の度に期待しててもキリがないと言うのに。
俺は電話に出た。
『光樹かい?今東京いるから後で会おう』
「え、どういうこと?貴方誰なんですか?」
『じゃ』
「ちょっと!?……切られた」
すっかり変わってしまっていたけれど雰囲気が似てる。
相手は俺の名前を知っていた。
普段俺は名字で呼ばれるから下の名前で呼ぶほどの奴は親類以外で一人しかいない。
「降旗君の幼なじみだったりして」
黒子が俺が導き出した結論を零す。
俺は切れてしまった携帯を見つめる。
あれは間違いじゃなかったんだ。
会えるのか?アイツにまた会えるのか?
ってか会うっていつだよっ!!
「…あ、赤司君からメールです」
「降旗君!黒子君と一緒に行ってきてちょうだい!!」
時間は、回り出す。
*