捧げ物、頂き物
□助けられて嬉しい、なんて
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よく晴れた日曜日。俺は最寄りの駅で緑間を待っていた。
今日はデートと言う名のラッキーアイテム集めだ。
昨日のことだがツンデレ具合を見事に発動させて緑間は俺を誘ってきた。
ちなみに『俺は明日ラッキーアイテム集めに行くがお前も行くと言うなら連れて行ってやらんこともないのだよ』だそうで。
勿論俺の返事はYES。『もうっうちのエース様はツンデレなんだからっ!』と言い返したが。
今日はチャリアカーは使わない。
真ちゃんが歩いていくって言ったし、何より休日の人混みでアレを漕ぐのは中々大変だ。
普段だったら緑間の家まで迎えに行くんだけどね。
「待たせたのだよ」
昨日の思考に飛んでいたら緑間は俺の目の前に立っていた。
相変わらず緑間は恋人の贔屓目ナシに格好良くて惚れ惚れする。ただ持ち合わせいるラッキーアイテムは気になるのだが。
「真ちゃん、その黄色いの何?」
「これか?ひよこの人形なのだよ」
「真ちゃんが持つとかなりちっちゃく見えるねー」
掌サイズのそれは可愛らしく緑間の掌の上にいる。
いつも通りラッキーアイテムをちゃかしながら歩けば目的のゲームセンターに到着した。
中に入れば機器の音が入り乱れて、ランプがあちらこちらで光っている様子に少しだけ緑間は眉を寄せた。
「で、エース様今回は何がお目当てで?」
「特にはないのだよ。不測の事態に備えることも人事を尽くすと言うことなのだよ」
そう言う我らがエース様はあれをやるのだよと指差したのはUFOキャッチャーだ。
適当に選んでもいいとのことだったからキョロキョロと賑わっている店内を見回す。
「真ちゃんあれやりたい!」
俺の目についたのは様々なカラーバリエーションのある大きめの熊だった。
「どれ狙うのだよ」
「勿論緑色っしょ!」
狙うは薄い緑色をした触り心地の良さそうな熊。
お金を入れてUFOキャッチャーと向き合えば鷹の目のお陰で楽々取れる。正直UFOキャッチャーだったら敵なしだ。
ボトンと落ちてきた熊を拾えばやっぱり肌触りは最高だった。
「真ちゃん俺袋貰ってくるね〜」
薄い緑色の熊を抱いたまま、緑間を置いて俺はカウンターに向かった。