捧げ物、頂き物

□必死なのに、まったく
1ページ/3ページ


眩しくて起きた日曜日の朝。
青峰は身体を起こし、また眠る気にもなれなくて一回大きな欠伸をする。
シーツにくるまっている隣の体温は何時もより暖かく、隙間から金髪が覗いている。
鼻でも摘んでやろうとシーツを捲ったら、

朝起きたら黄瀬が小さくなっていました。

「え…?」

身を捩ったのは明らかに子供で年にしたらだいたい幼稚園児位だ。
太陽に眩しい金髪も小さな耳に通っている青いピアスも端正な顔立ちも確かに黄瀬のものだ。
青峰は思わず固まって動けない。

「んん…っ」

眩しさに声を漏らすが色気というよりむしろ可愛いと表現した方が適切だと青峰は動かない身体で思った。
大きな金色の瞳が姿を現す。

「あおみねっち…?」

目を擦りながら呼ばれたのは彼独特の呼び方で、やっぱり黄瀬なのだとわかる。
変な表情のまま固まっている青峰に黄瀬が触ろうと手を伸ばすが、手が小さい。
目を擦ってもう一番見るがやっぱり小さい。まさかと思って身体を見れば…、縮んでいた。

「ええええええっ!!!??」

高い子供特有の声が部屋いっぱいに響く。
その声にようやく身体が動いたのか混乱する黄瀬を青峰が止めにかかる。

「き、き、黄瀬落ち着け!」
「あおみねっちこそおちつけっしゅよ!!」

途端、部屋がシーンと静かになる。青峰は耐えきれずに笑い出した。

「しゅよって何だよ!」
「かんじゃったんすよ!!そんな笑わないでほしいすっ!!」

真っ赤になりながら今の現状を理解し始めた二人は頭を捻る。何で黄瀬が突然小さくなってしまったのだろうか。

「り、りゆうがおもいつかない…」
「ヤベ、ヤりすぎた?」
「はずかしいからいわないでくださいっす!」

白い頬を真っ赤にしてウブな反応を見せる黄瀬。それに対して青峰はしたり顔。
ちなみに余談だが二人とも裸である。青峰は上半身だけだが。

「取りあえず困ったらアレだ」
「アレっすか」

共通した考えに青峰は携帯を取り出して電話帳を開きボタンを押す。

『もしもし青峰君どうかしましたか?』

コール音のした後聞こえてきた声は黒子のものだった。

「いやそれがよ――…」

理由と言ってもわからず、現状だけを教えると黒子は一つため息を吐いた。

『…なる程、だいたいわかりました。僕、この後誠凛の皆さんと出掛けるのでついでに青峰君の家に寄って子供用の服、貸します』
「お前一人っ子なのに何であるんだよ」
『企業秘密です』



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ