捧げ物、頂き物

□好きなくせに馬鹿みたい
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「今日は何の日だかわかるッスか?」

と黄瀬が笑って言ったのから始まった会話だった筈なのにいつの間にか二人して喧嘩腰。そんなのいつものことだ。

「知らねーよ、んなの」
「はぁ!?青峰っち覚えてないんスか!?」
「別に何もねー普通の日だろーが!!」
「違うッスよ!ああもう青峰っちが記憶力悪いからそうなるんスよテストとか!」
「あぁ!?テストとかカンケーねぇだろが!つか黄瀬!お前もあんまいい点数じゃねーだろが!!」

アイツはああ見えて頑固だからキャンキャン犬のように騒ぎながら反抗してくるし、俺もそれなり気がみじけーからすぐ言い返す。だから喧嘩するとなかなか終わらない。

「青峰っちの馬鹿っ!」

結局黄色の瞳から零れそうな程涙を溜めて叫ぶ。
かなわないってわかってるからなのか黄瀬は敵前逃亡。

誰もいなくなったストバスで一人溜め息をつく。

さっきまで騒いでたのに突然一人になったコートは寂しく感じて、転がったボールを拾い上げる。
軽くゴールに向かって投げたボールは簡単にネットをくぐってバウンドした。

「仕方ねぇ、捜すか」

もう一度ボールを拾い上げると近くにあったベンチに座る。

猿と馬鹿は高い所が好きって言うけど黄瀬も十分それに当てはまっている。
つまりアイツは馬鹿ってことだ。
決まってアイツは俺が必ず知ってる高い場所に隠れる。
それはアイツのマンションの屋上だったり、海常の最上階だったり、帝光中の木の上なんてこともあった。
暑い日でも寒い日でも構わず高い所に行くから軽く熱中症になってたり、風邪を引いたりするんだよあの馬鹿は。

心配して欲しいから、
気にかけて欲しいから、追いかけて来て欲しいから
アイツは馬鹿みたいに高い所に登って一人で膝を抱えて反省会を開催している。

そんなことやるくらいだったらもっと素直になれっての。

俺が素直になればいい?恥ずいしやってらんねぇ。
だったら黄瀬にやらせればいいだけの話だ。

捜すのはいいがいちいち階段を登って最上階まで行くのも面倒くさい。


だから今日は一発でお前のいる居場所を当ててやるよ。



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