捧げ物、頂き物

□君と一緒に
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僕らが高校生だった頃から早くも5年が過ぎた。
火神君はバスケをするために単身アメリカへ。僕は日本に残って保父さんの仕事をしている。

『プロバスケプレイヤー火神大我恋人現る!?』

何て下手すぎるニューステロップがテレビ画面に流れた休日の日曜日。

その女性はグラマラスな女性で金髪でボブくらいで。
僕を好きだと言った彼は隣の女性に笑っていた。

それに僕は息を呑む。

「もう知らないです」

心の奥が軋むのを知らないふりして僕は画面を見続ける。

グシャっと胸元のシャツを握り締めた。





ぐるぐると頭の中を巡る画面と下手なニューステロップ。

結局何も手に着かず、もうすでに日が沈み始めてオレンジの日差しが差し込んでいた。

「…もう知らないです。火神君なんか」

アメリカに行っただけで心変わりしたなんて最低だ。

男と女の交際。
それが世間では普通。

最悪なのは僕。
醜い嫉妬に苛まれて彼を嫌いだと言ってしまう僕だ。

思考を断ち切るように数度頭を振る。

締め切っていた窓を開けようと立ち上がった時、着信音が僕一人しか居ない部屋に鳴り響いた。

ディスプレイには彼の名前。
出ようか出まいか迷った末、六度目のコールで僕は携帯の電源ボタンを強く押して音を遮断する。
携帯を置いて僕はソファの上に寝っ転がった。

「何やってるんだろう、僕は…」

詰まらない意地を張って、虚勢で本心を隠して、あまつさえ火神君の電話まで切って。

本当に自分が嫌になる。

ドアのガチャっと開く音。
そこは残念ながら僕が先手を打って置いた。

合い鍵は勿論火神君も持ってるし、彼ならいきなり帰って来かねないと電話中わかっていた。

だから僕はドアに備え付けてあるチェーンをかけておいたのだ。

案の定気がつかなかった火神君はドアが開かず驚いていた。ざまあみろ。

「え、チェーン!?おい黒子外せ!」
「嫌です」
「何律儀にチェーンかけてんだよ!」
「火神君が来るからです」
「何でだよ!」

嫌の一点張りを続ける僕を諫めるように火神君は続けた。

だからと言って僕は開けるつもり何てないですが。
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