965long

□決まり文句さ、『未来は誰にも分からない』ってね
1ページ/4ページ



もし、赤司君が目覚めたとして。

僕は何を言えばいいんだろう。

わからなかった。

回らない頭は何を考えても悪いことしか浮かばなくて。

そうしたら僕の光はこう言った。


“おかえり”って言ってやればいいんじゃねぇの?


そう言って僕の頭を撫でた。





きっと、赤司君はずっと無理をし続けていたのかもしれない。

マネージャーとして、彼の友人として何も出来なかったことが歯痒い。

ねぇ赤司君。

私達じゃ頼れないなら、他の誰かでもいい。


壊れちゃう前に、頼ってよ。





俺はやっぱりバスケが好きだ。

テツに負けてようやく気づけた。

最初っから俺は、俺達は寄り道しまくって、曲がり過ぎたってバスケが好きだってことに。

また、あの頃みたいに皆で集まってさ、


バスケしようぜ。





赤司っちの笑い方が好きだった。

俺達とは違った大人びた笑みだったり、ちょっと子供っぽい笑みだったり。

いつからか見ることができなくなってしまったけれど。

休憩して、目を覚ましたなら


笑って、“ただいま”と言って。





独りでもいいと思っていた。

俺は静かな方が好きだったし、独りでも何も困らないと思っていた。

試合が終わって、息を吐き出したその時に、笑いながら背を叩くアイツがいる。


隣に誰がいるということは案外悪くない。


そう思うようになった。





支えてくれる人。

それはきっと俺達キセキじゃなくて、別の価値観を持った人なんだと思う。

俺と、室ちんみたいに。

独りはきっと寂しい。

だから赤ちんにも、出来るといいな。


そしたらまた笑ってくれるかな。



次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ