965long

□捕まえようとした指先からするりと抜け出して奴は笑う
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突如目の前に現れた漆のように黒い髪と綿のような白い翼を持つ自称天使。
いきなり起きた出来事に呆けている俺へ自称天使…高尾は笑う。

「俺の願い…?」
「そ!願っただろ、あの願いを。俺はそれを手助けするだけ」

自分の心の中にずっと居座り続けていた空白の穴。
その答えをコイツは知っているのか?

「たか、」
「ぶーっ!ダメだよ自分で答えを見つけなきゃ!」

手をクロスさせて高尾は否定する。
何故言おうとしたことがバレたのだよ。

「ほら、帰ろーぜ?羽しまっちまえば俺も周りの奴らにも見えるしさ」

指を鳴らすと高尾の後ろに生えていた非現実的な白い羽は消え、急に現実に帰って来た気がする。

「しばらく真ちゃん家にお世話になるからね」
「高尾貴様家まで来る気か」
「そりゃね、お願い叶えてあげる為だから仕方ないのだよ真ちゃん!」
「真似をするな。それとその呼び方止めるのだよ」
「いいじゃん真ちゃん!似合ってんだろ?さ、帰るのだよ〜」
「だから真似をするんじゃないのだよ!」

…そうして俺の家に自称天使高尾が住み着くことになったのだ。



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