965long
□神に縋れば救われる気がして、助けを求めてみたけれど
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高校を卒業した後、親が医者だったためなのか理由もなく医大に進学した。
人事を尽くしていたから勉強に困ることはなかったが心の真ん中にぽっかり穴が開いたように満たされることはない。
一つため息をつく。
俺は神とやらを信じる主義ではないが一応神頼みでもしてみるのも悪くない。人事を尽くしてないように思えるが致し方ない。
いるかわからない神様、この穴って何でしょうか。
そう思った途端、夕暮れの公園が白く光った。
瞬間目を瞑ってしまった俺がそろそろと目を開けると1人の男が立っていた。
「はーい!初めまして俺は高尾和成。天使でーす!」
語尾に星がつきそうなハイテンションの見た目高校生位の男が俺に向かって笑顔を向ける。
奴の背には真っ白で柔らかそうな羽があり、対称的に髪はサラサラで黒い。
背丈は俺より小さく(俺より大きい男は中々いないが)しかし俺がベンチに座っているためか夕日に照らされた白い羽は淡いオレンジ色に染まっていた。
その姿はまさしく、
「天使、か…?」
「お、流石物わかりいいね!お前緑間真太郎だろ?お前の願い、叶えに来たぜ!」
ウインクして見せた自称天使と増えそうな厄介事に俺はまた一つため息をついた。
【神に縋れば救われる気がして、助けを求めてみたけれど】
舞い降りて来たのは軽薄そうに笑う天使でした。
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