自分より仲間

□第三話〜真選組副長補佐の夜と早朝〜
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屯所に入った私は、とりあえず血まみれになった隊服を脱ぎ捨て、新しい隊服に着替える


私服に着替えてもいいのだが、まだこれから屯所内をうろちょろするので


副長に言われたのだ


『屯所内を歩くときは隊服を着とけ。じゃないと、隊士達に何されても文句言えないからな』と


私はその教えをキッチリ守ってるわけだ


そして、私は晩御飯を食べるため食堂にむかった




食堂には、あまり人はいなかった


数えるほどしかいない


ま、ちょっと遅いからな


なんて、思いながら…食券を買おうと食券販売機の前に行くと



「あ、菜乃覇さん!!」


食べ物の受け渡しのところから声が聞こえたので、そっちに行く


そこからは、調理室が見えるようになっている


「はい、菜乃覇です」


すると、こちらに歩みを進めてきた人が一人


遥香さんだ


遥香さんは、ここの食堂で料理をしてくれている女中の一人


女中の中で一番若く綺麗なので、隊士達から密かに人気な方だ


遥香さんとは歳も近いことから、よく話す


ていっても、遥香さんは23歳だから5歳違うんだけどね


どっちかと言えば、副長の方が歳は近いと思う


いや、副長の年齢知らないけど


遥香さんは、もうすぐ勤務が終わるのか自分の着物を着て髪を下ろしている


普段は、長い髪を一つに束ねているのでちょっと見慣れない


「遥香さん!!もうすぐ、勤務終わりですか?」


私が聞くと、とても上品な笑みで


「ええ、そうなんです。だから、今から晩御飯を…」


言葉遣いも丁寧だから、より隊士達に人気なのだ


ごめんなさいね、華がない女で


「私も、今からなんですよ。良かったら、一緒に食べませんか?」


私の唯一の自由時間が食事の時間なのだ


これくらいしか、遥香さんと喋る機会がない


私自身、同世代の女の人と喋ることが滅多にないから遥香さんと喋るのは、結構楽しかったりする


「もちろん、喜んで!!あ、今からそちらに行くので少し待っていてください」


頭を下げて、そそくさと奥に行く遥香さん



あんなに綺麗で若いのに、なんでこんな所で働くのか分からない


もっと良い場所がありそうなのに、なんでわざわざこんな男所帯のしかも、雑用させられる所で働いてるんだろう


遥香さんに対して、いつも謎に思うことだ






「すいません、お待たせしました」


遥香さんが来た


「いえいえ、全然」


私が、首を横に振ると


「ありがとうございます」


頭をさげた


「いえいえ。あ、何食べます?」


「さっき、余ってた食材がラーメンだったのでそれを」


「じゃあ私も!」


二人でラーメンの食券を買って、しばらく待ったらすぐにラーメンが来たので、それを持って席に着いた




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