短編集

□叶わない恋
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あの人は

私の前からいなくなった


『知らねぇよ、お前のことなんざ』


という…一言を残して




結局、私の恋は叶わなかった


けど、あの人の活躍を見てるだけなら…

許されるわよね…?







みんなが上京してから、早ニ年


テレビでよく見かけるようになった


総ちゃんも近藤さんも…


そして


十四郎さんも


相変わらずみたいね


総ちゃんは、よく十四郎さんに向かって色々やっているみたい


本当、相変わらずなのね


テレビをつけたら、ニュースが流れてきた


『緊急ニュースが入ってきました。今、引きこもり騒動が起こっている模様です。現場の花野アナ!花野アナ!』


まぁ、物騒ね


『はい、現場の花野です。只今、この家に銃を持った男が引きこもっている模様。あ、我らが真選組が到着しました』


真選組…


総ちゃんや十四郎さん達ね


『はいはい、邪魔ですぜィ』


総ちゃんがカメラに映る


良かった、元気そうで


『真選組の沖田さん!今、どんな状況ですか?』


アナウンサーの人がインタビューする


どう答えるのかしら


『あ?それはこっちが聞きたいでさァ。いきなり、叩き起こされていきなり連れてこられたんでね。そういうのは、土方バカヤローに聞いてくだせェ』


カメラ目線で話し、バズーカを片手に家に近づいていく


フフッ、総ちゃんらしいわね


ていうか、今まで寝てたって…


最近、忙しくて寝れてないのかしら


心配だわ


『…………。と、とりあえず…状況が分かる土方さんに聞いてみましょう』


えっ…!?


ということは、十四郎さんが映るの?


ドキドキしてきたわ


『え〜…と。あ、いました!土方さんです!』


カメラが十四郎さんを捉える


十四郎さん本人は、カメラに気づかず煙草を吸っている


『それでは、お話を伺ってみましょう』


どんどん十四郎さんに近づくカメラ


嬉しいけど、あまり仕事の邪魔をしない方がいいんじゃないかしら…?


なんて、思ってる内にカメラ到着


『土方さん、今はどういう状況ですか??』


アナウンサーがマイクを向ける


その時に初めてマスコミの存在に気づいたらしい


驚いた後、眉間にシワを寄せ不機嫌な顔になり………


カメラを見つめる十四郎さん


自然にカメラ目線になっている


無意識なんだろうけど……やっぱり素敵だわ


顔が赤くなるのが分かる


『お前らに教える必要はねェ』


心地よい低音ボイスで答える


顔は、とっても睨んでるのだけれど


そして、カメラから視線を外し家に近づいていく


『お〜い出てきなせェ、引きこもり』


総ちゃんの声が聞こえる


カメラは今度は総ちゃんを捉える


見ると手にはハンドマイク


なるほど、まずは説得するのね


犯人からの返答はなし


すると、十四郎さんが『バズーカ用意』と言って片手を挙げる


途端に真選組の人達が、バズーカを構えて家を取り囲む


え…まさか……


最悪の事態を考えるが、頭を振って取り消す


『引きこもりよ〜後、10秒以内に出てこないとバズーカ打つぞ〜』


今度は十四郎さんが言う


最悪の事態…起こるかも


『10〜9〜8〜…』


総ちゃんが数える


7と言ったところで


『はい、0〜』


え…?


いきなり0!?


『発射』


ドッカーンと物凄い音共に白い煙が辺りを包む


アナウンサーの人が


『な、なんということでしょう!真選組が…また、やらかしました!』


とリポートする


本当になにやってるのよ


けど、次の瞬間―


『はい、逮捕〜』


という総ちゃんの声が聞こえた


煙が段々晴れてきて、見えるようになってきた


既に真選組の人達が、犯人を逮捕していた


『な、なんという早業!』


アナウンサーの人も驚く


さすがだわ、みんな


今度、激辛煎餅をいつもよりたくさん送ってあげなきゃ


と思った私でした














みんな、幸せそうなのね


ニュースが一通り終わり、心の中に浮かんだ感想


私は、手に持った紙と写真を見つめる


結婚…か………


蔵場刀馬さんね……






私も幸せにならなきゃね…






そう決心して、私はお返事を書いた




ここからの物語は、皆さんの知った通り


ミツバの死へのカウントダウンが始まる――――………‥





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