海底に沈む泡沫

□story4
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ウィーン

とトレーニングルームのドアが開き
姿を現したのは青い顔をした
女性だった、

「ニュウどうかしたのか?」

オジサンが心配そうに声をかけている

大丈夫、と彼女はいっているのだろうか

(顔色もいっそう悪くなっている)

声が小さくて分からないが…挨拶でもしているのだろう

と口の動きを見て彼バーナビー・ブルックスJrは思う

「…」

彼女がこちらを見ている

「なにか?」

「あ…あぅ…その」

「?」

「ポソポソ…」

声が小さくて何を言っているのかわからない

「その、もういちどいっていただけますか?」

「なぁバニーちゃん」

「僕はバニーじゃなくてバーナビーですが」

「いやそのな?」

「何ですかさっきから」ハァ

ほんとこのオジサンは…

「こいつ男性恐怖症なんだよ」

「は?」

「あ、あぅそ、その…」

さっきからもじもじしてなにか言いたそうな彼女は

確かに男性に萎縮しているように見えなくもないが

「そうなんですか?そうだったのなら…」

と謝ろうとすると

「ち、ちがうんです…」

とポソリと高めの綺麗なソプラノの声で言う

「え…とそれじゃあ何か?」

と問うと

「あの…」

と30秒くらいだろうかモジモジとまたして

「…」

じっと見つめられたあと…

「お、」

「お?」

「おはよう…ございます」

「…」

「…」

それだけか?

そう思ってしまうくらいに短い言葉だった

「それだけですか?」

と僕は溜息を思わずつきながら問う

「ご、ごめんなさい」

と彼女はシュンとして泣きそうになりながら言う

「あーバニーちゃんニュウのやつ泣かしたな!!」

「は?」

「え?!だれが!!だれがニュウを泣かしたのよ!!」

「あぅ」

「いや違いますよ」

「あらん?ハンサム、ニュウのこと泣かしたの?」

怖い顔で何故かまだ来ていない、ロックバイソンさん、

ドラゴンキッドさん、折紙サイクロンさん、スカイハイさん以外が

つまりブルーローズさん、ファイヤーエンブレムさんが集まってきた

「だから違いますって」

あぁ帰りたい…

「じゃあなんでニュウが泣きそうになってるのよ!!」

「ローズ落ち着きなさい、ねぇ新入りさんこの子泣き虫だけど、こんなに早くには泣かないわよ?」

ブルーローズさんはファイヤーさんになだめられて静かになったけどすごい睨んでくる

僕が何をしたっていうんだ…

「あ、あの…」

「ニュウ!こいつに何されたの?!」

「いや、ですから…」

「挨拶を一人で頑張ってみようと思って…それで…」

ギュウ!!

「あぁ!!もう可愛いっ!!」

「ムグゥ!!」

上気しているブルーローズとは違い彼女の方はだんだんと血の気が引いていく

「おい、ローズ」

「なによ」

「ニュウが…」

「え?…あっ」

「キュウ…」

「あ〜〜〜!!ニュウ!!!」






朝から疲れた…

怯えてる彼女を見て子鹿のようだと思って少し頬が熱くなったなんて死んだって知られたくない
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