■長夢■

□運動神経
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昨日、決まってしまった
[訓練]

が 今日から早速始まる。
香織は中庭に来て居た。


先ほど土方さんから

『この小太刀をお前にやる。後は斎藤に任せてあるから中庭に行け』

なんて小太刀を頂いたけど…

本物の刀を見るのも
あの時、総司君に突き付けられたのが初めてだったし

自分が刀を持つなんて信じられない。

小太刀といっても
50〜60センチはあるだろうか?

こんな物……
使える訳がないよ…

怖くて鞘から抜くのさえ躊躇ってしまう。


すると後ろから

『小太刀は、相手を斬るだけでは無い』

と斎藤君の声がした。

「ぁ…斎藤君」


『無理に斬ろうとしなくて良い。ただ己の身を護れば良いのだ』


「己の身を…護る」

私は小太刀を見ながら呟く。
護ると言っても
一体どうやって護ればいいのだろうか。


『まず、相手が斬りかかって来た場合だ』

と斎藤君が刀を抜く。

『あんたも刀を抜け』


そう言われて慌てて刀を握り、ゆっくりと抜く。
スーッと鞘から刃が現れキラリと光る。

「…本物なんだ…」

ゴクリと唾を飲む。


『まず、相手がこう斬りかかる』

そう言ったかと思うと
すぐ目の前に刀を向ける斎藤の姿があった。


「っ!!」


香織は反射的に刀を受けた。


―キンッ―


刀同士がぶつかる音が響く。


「…びっ…くりしたぁ」

『なかなかの反射神経だな』


「そう…かな?」


『今の様に、真正面から刀を受けるのも良いのだが、相手の力次第ではあんたは受けきれない』


「…はい」


『だが、こう斬りかかって来た時に刀を斜めに当て、相手の力を流せば良い』


「…やってみます」


斎藤がまた刀を向けて香織に斬りかかるのを、先ほど言われたように刀を当て、受け流す事が出来た。



『そうだ。今ので良い』


「本当?ふぅー…緊張する」

香織は大きく息を吐いた。


『へぇ〜香織ちゃん、なかなかの腕だね』

そう言いながら総司が中庭にやって来た。


「総司君、見てたの?」


『うん。ちゃんと訓練してるかと思って』



と総司は斎藤の隣に並ぶ。
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