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□今日泊まって帰ります!
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※ルフィとエースの年の差が違います。




朝は格闘である。2人しか住んでいないマンションは色んな物で溢れかえり生活感を感じさせる。その中から今日の1日に必要なものを探し出し寝癖がついた髪のまま朝食を作る。自分もそうだが、小さい弟もばくばくと通常の倍を食べる。朝ごはんにご飯とパンなんて当たり前だ。



「ルフィ〜〜! いい加減制服着ろ!!」

「エース、飯〜〜!」

「もう出来るから靴下ぐらいは履いて座っとけ!」


じゃないと今日のデザートは俺が食うぞ、と言うとテレビに夢中になっていた弟は急いで靴下に履き替え椅子に座る。その姿に苦笑いしつつも手を休めることなく朝食を運ぶ。あいさつもそこそこに済ませがっつく俺ら。数十分もすればあっという間においしそうな料理は消えていく。息をついたところで時計を見れば長い針は7を示している。やばいと思い急いで食器を台所へ運ぶ。


「エース、はい。」

「さんきゅっ!!」


ルフィが渡してくれた歯磨き粉つき歯ブラシで鏡の前で2人でにらめっこ。流し終わり髪も軽く寝ぐせを水で馴染ませる頃には弟の歯磨きも終わり次は着替えにかかる。自分は終わらせているが弟はもたもたするので俺がささっとボタンを閉め帽子をかぶせカバンに腕を通させる。玄関で靴をはかせてる内に自分のすっからかんのカバンと派手なオレンジ色の帽子を手にし待たせている弟の元へと行く。


「「いってきます!」」


誰もいない部屋へ俺らは今日も挨拶を済ませる。階段を使って降りて自転車に乗って目的地へ急ぐ。その際弟は後ろに座らせる。だけど、子供がよく使うカゴみたいなのに乗せてるのではなく普通の二人乗りとか荷物に置くためだけのやつしかない。ルフィはそれが痛いらしく座布団をひいてやった。まずはルフィを保育園に連れていく。家からは案外近い。


「っ着いた…!」


がちゃんと門の近くに自転車を置き、先に降りて歩いていく弟の後をついていく。立っていたのはいつもの先生だった。俺らを見つけるとにかって笑いかけてくれる。


「×おはよう!!」

「こらルフィ!!! 先生をつけろ!!」

「ははっ、ルフィ、エース君おはよう!」


ぼこっと頭を殴る姿を見て笑う先生。あぁ、今日も先生の笑顔は最高だなあ。と感傷に浸っていると先生は肩から下げていたカバンから弁当を取り出した。慌てて俺も綺麗に洗い空になった弁当箱を差し出す。


「はい、今日の分。」

「いつもありがとうございます!」

「俺こそいい勉強させてもらってるから、気にしないで。」


今日はヒヨコ柄だ。弁当を包んであるナフキンを見てにやにやしてしまう。先生は俺が毎日昼は売店かコンビニで買って食っていると言ったら学校のある日は手作り弁当を作ってくれるようになった。憧れの先生の弁当は最初こそは下手ではないが男の弁当って感じで笑えた。だけど最近は主婦が作る弁当とさほど変わらないほど腕をあげている。母さんがいたらこんな感じだったのかなあ。


「×ー、今日もかくれんぼしようぜ!!」

「後で遊ぶから、違う友達と遊んで来い。」

「やだ! ×じゃなきゃ嫌だ!」


ぎゅうっと先生のエプロンを離さない弟を見て仕方ないと抱き上げる。そして弟とおでこをひっ付け、ダメでしょが! と言いながら冗談半分に叱る。近い。ルフィ、そこ変われ。あああ次は頬ずりなんてずりい!


「…エース君時間大丈夫?」

「あ……じゃあなルフィ! ちゃんと先生の言うこと聞いとけよ!!」

「エースもじゅぎょうちゅう、寝るなよ!」

「余計な御世話だ!!」

「はは! いってらっしゃい!」


先生と弟が手を振るのを見て学校へと急ぐ。残り10分。ぎりぎりでつく。あぁ、学校なんて大嫌いだ!


「はぁ、はぁ、疲れた……。」

「ようエース。今日も危なかったじゃねえか。」

「うるせぇ、好きでこんな生活送ってんじゃねえんだよこっちは…。」


自分の席について先ほど買ったミネラルウォーターをぐいっと半分近く飲み干す。新陳代謝が人より良い俺は汗が噴き出る。おかげでタオルで拭いても拭いても追いつかねえ!間もなくすると担任がやってきて皆席に着く。出席を取っている間、俺の頭には先生のことばかり。乙女な俺気持ち悪い。


「っいっただきます!」


昼休みが一番楽しみだ。先生のご飯が食べられる。今日は唐揚げかあ。先生が朝から作っている姿が頭に浮かぶ。結婚したら毎日見れるのかなあなんて。にやにやしていると友人が眉を近づけ怪訝そうな顔をしてくる。


「…お前ほんと弁当好きだよな。」

「わかる?」

「わかるよぃ。幸せです、ってオーラがびんびん伝わってくる。」


パンにかじりつく友人をなぜか不憫に思ってしまった俺は最低だ。


「お前んち母ちゃんいたっけ?」

「いや、いない。」

「…自分で?」

「まさか!」


これまでのことをいっぺんに話す。食べることなんて忘れていた。それを聞いていた友人は驚いた様子で聞いており、時折不思議そうな顔をしていた。


「……んじゃエースはその先生が好きと。」

「おう! めちゃくちゃ笑顔が可愛いんだ!」

「馬鹿ストレート…。その先生、女だよな…?」

「え、男だぞ。」


しれっと答えるとやはりか…と頭をかかえる友人。どうしたのかと思っていると、そういえば今まで先生ばかり見てきてからあまり思っていなかったが、先生は男だった。やばい、勘違いされた。


「俺ホモでもゲイでもねぇから。」

「あ、そうだったのか…。」

「ごめんごめん、言い忘れてたわ。」

「まぁ、人それぞれあるもんだから。」


普通な反応の友人を見て、俺は思った。こいつはいい奴だと。しかも話まで聞いてくれる。


「俺、女だったらマルコと付き合うわー。」

「男だから安心しろ。」


気付いた頃には俺らは昼食を食べ終えていた。ぶっちゃけた話をしてしまったので、相談に乗ってもらうことにした。


「なぁ、俺先生好きなんだけどさー。付き合いたいんだけどさー。どうしたら先生俺の事みてくれるかなあー。」


机にうつ伏せて考える。そんな俺を見てうーんと考える友人。俺の目線の先にはイチャイチャとカップルが戯れていた。そのまま窓から落ちてしまえばいいのにと思ってしまった俺は負け組だ。


「言えばいいじゃねえか。」

「はあ!? 無理無理、言えねえしこれから会いに行けねえ。」

「じゃあ言えるときが来るまで責め続けるしかないだろう。」


どうすりゃいんだよと問いかければそれは考えろと言われた。相談になってねえ…。だが、友人をきっかけに俺は積極的に攻めていくことになった。帰りに家で飯食っていってもらったりしたし、休日にはデート(向こうはただの買い物しか思っていないだろうが)にも誘った。お泊りはさすがに出来なかったが、ついに俺は先生の家におよばれした。どきどきしながら先生の車に乗って先生の家(アパート!)に行った。落ち着け落ち着けと思ったが先生の匂い溢れるこの場所でどう落ち着けばいい!?


「なんでそんなに緊張してんの?」


あははと笑う先生に引きつりながらも笑顔をつくる。何か策を考えようとトイレにいったのが間違いだった。トイレの匂いで興奮してしまった俺は末期だ。妄想が爆発してしまい用も足さずに部屋へ戻った。顔は真っ赤だろう。心臓の音、聞こえているに違いない。もう、言うしかない!


「せ、んせい!!」

「うおっ行き成りどうした? てかさっきから可笑しいぞエース。」


最近呼び捨てにされ喜んだあの日の方がまだよかった。怖い。けど、言うんだ。がっちり先生の肩を掴み目線を合わせる。


「俺、先生のことが好きだ! 前から先生の笑顔が好きで気付いたら先生のことばっか思ってて…。」


先生は真剣に俺の話を聞いてくれた。べらべらと口が止まらなくて気付いた時には先生で夜のおかずにしてしまったことまで話してしまい、血の気が引いた。先生はうつむいてて終わった…と感じた時だった。


「っまじかよ…。エース。」

「は、はいっ………って、え…。」


先生の顔は見たこともないくらい真っ赤になっていた。耳まで真っ赤で、りんごみたいでおいしそうだった。


「その…まさかエースもそんな風に思ってくれてるとは夢にも思わなくて…。」


俺も、好き。先生の言葉が頭に響き渡る。ウソだろ、神様、ウソだろ、先生。


「ら、らいくじゃなくて、らぶ!?」

「…らぶだよ、ばーか!!」

「っ先生!!!」

「うおっ!!」


今日泊まって帰ります!

(だめに決まってんだろ。ルフィいるし。)

(んじゃうち着て!)

(さっきの話からして嫌な予感しかしないので却下。)
 

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