ホエ面かかせてやる。
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「君の任務は、故・藤本獅郎と日本支部長メフィスト・フェレスが共謀し、秘密裏にしているうものを調査報告することじゃなかったか?」
「どーせ俺以外にも密偵送ってんだろ?」
「まぁな。だが、もう一つ大事な任務があったはずだ。…”もしそれが…。”」
その瞬間、アーサーの目の前にポンッと可愛らしい音とともに2つの影の姿が見える。そのまま下へ着地し海斗たちと同じ目線に立った時、悪魔のような叫び声と青い炎が目に入る。行き成り現れた燐とそれを逃すまいと腕を掴むメフィスト。
「燐!」
「グルル…。」
「この度は”聖騎士”の称号を賜ったとか不覚お喜び申し上げる。おや、お久しぶりですねエンジェル。」
「”もしそれが”…。”サタンに纏わるものであると判断で来た場合、即排除をする。…海斗、この青い炎を噴く獣はサタンに纏わるものであると思わないか?」
アーサーの問いに海斗の口は開くことはなかった。冷静にアーサーと2人の悪魔を睨んでいた。雪男も自分に言われているような気持になり冷や汗を流している。降魔剣を鞘に戻すと死んだかのように気を失う燐。メフィストとアーサーが手短に話を終えたかと思ったら燐を起こしアーサーは剣を抜いてその場から消えた。
「!?」
「正十字騎士團最高顧問三賢者の命において、サタンの胤裔は誅滅する。」
高台にいたアーサーは目にもとまらぬ速さで燐の首を掴み剣の刃先を首元にあてる。だが、すぐに海斗が剣でアーサー目がけて斬ろうとするも剣は当たることなく空を斬る。あまりの速さについていけていない燐は驚きを隠せない。
「(何が誅滅だ…燐に罪があるんじゃねぇんじゃねえか!)…霧隠流魔剣技…蛇腹化蛇牙。」
「!!」
親指を噛み血を刃の黒く閉ざされた瞼のような処につけるとその部分の目が開かれ剣が波のように口になる。勢いをつけ襲いかかってくるアーサー目がけて再び振りかざす。その一発は強烈でアーサーのいた高台が大きな音と煙を上げて一部が崩れる。お目当てのアーサーはおらず舌うちをする。その隙に背後に回っていたアーサーに剣を首に当てられ後ろから剣を持っている手を抑えつけられた。
「海斗、何故このサタンの仔を守る。メフィスト側に寝返ったのか?」
「…なわけねーだろ。」
「そういえば、お前藤本からこの仔に魔剣を教えるように頼まれたの言っていたな。」
「えっ…。」
「(余計なこと言いやがって…。)」
「”冗談じゃないあのクソ! ハゲ!!”と息巻いていたのに…。」
掴まれている手に力が込められる。
「死んだ師の遺志に添おうとでも思ったのか? …あんな歴代聖騎士の中で最も不適格だった男のために。」
「(イラッ。)ちげーよクソバカハゲ!! 純粋培養には一生理解できねーからすっこんでろ!」
「?? 俺ははげてないぞ? アッハッハ!! 面白い冗談だ!」
首に剣を当てられていなかったら、すぐにでも憎たらしい顔をぶん殴っているだろう。その時、アーサーの左耳にはめていた通信機から応答が入り一気に空気が変わる。剣を海斗から燐とメフィストの方へ当てられる。
「三賢者からの命だ。今より日本支部長メフィスト・フェレスの懲戒尋問を行うと決まった。当然、そこのサタンの仔も証拠物件として連れていく。」
「ほう! それは楽しみです☆」
「海斗、お前も参考人として加わってもらうぞ。」
「………。雪男、生徒達頼んだぞ。」
「……はい…。」
アーサーが部下に指示し、候補生たちは医務室へと連れて行かれる。燐は皆に訴えかけるが想いが届くことはなかった。アーサーの部下が持っていた鍵によってオペラ座法廷の”被告人の舞台扉”へと繋がった。中は外とは違い目がくらむような眩しい光に一瞬目がくらむ。燐に向けられた目やざわついた会場はどれもいいものではなかった。
「そこに跪け、早く。…大人しくしていろ。」
「!? ぎゃあああああああ!!!」
「ってめえ! 何てこと…!!!」
剣を構えたかと思えば蹴られ倒れた燐の左足をと真上から刺した。ぶちっと肉が裂ける音が生々しく鳴り燐は痛みで悲鳴を上げる。