ホエ面かかせてやる。

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燐の周りには既に3人の人が集まっていた。燐の戦闘の騒動に便乗してきたようだった。そばに落ちていた降魔剣を手にし、燐に渡す。


「遅せぇぞ雪男。お前が遅いからこっちから動くハメになったろーが。」

「………ま、まさか。」

「久しぶりだな。まぁ、いい加減この格好も飽きた頃だったしな…。」


バサッとパーカーを脱ぎ棄てた。下は黒のタンクトップ姿の隠していた姿とは違う姿を見せた。燐やしえみは初めてみる海斗の姿に戸惑いを見せた。


「俺は上一級祓魔師の霧隠海斗。日本支部の危険因子の存在を調査するために、正十字騎士團ヴァチカン本部から派遣された上級観察官だ。」


突然の自己紹介と上級祓魔師が現れたことで緊迫したムードに包まれる。それを余所にマイペースにポケットをまさぐる海斗。頭までフードを被って蒸れたらしくぽりぽりと音を立て頭をかく。


「上級祓魔師監察官…!?」

「(う、うわ〜かっこいい人だ…!)」

「あ〜あとコレ免許とバッチ。」

「ヤヤ…これは確かに。私は中級祓魔師の椿薫です。」

「あーいいよ。堅苦しいの苦手だからさ。とりあえずコイツを日本支部基地に連行する。あと支部長のメフィストと話したいから、引きずってでも連れてこい。それ以外の訓練生はみんな寮に帰しちゃってー。」

「はは!」

「オラ立て! お前にも話を聞くぞ。」

「!!」


燐のことはお構いなしと左腕で首を絞めるようにして連行する。その行為に吃驚し顔を真っ赤に染める燐。そんな姿を見て困惑したように話しかけるしえみ。


「あ、あの! 燐ケガしてるんです…。手当てしてからでも…。」

「んー? あぁ…。コイツはこのままでも平気だ。心配しなくても大丈夫だから。」


その後少し歩いて全員が集まったところで、燐と海斗の登場に驚く。雪男は先ほどから冷や汗を流しっぱないであった。


「皆さん、今日の任務はひとまず解散です。寮に戻ってください…。」

「どうしたんあいつ…。」

「あのイケてるメンズなお兄様誰!?」

「…下、男子の制服やから…多分いつもフード被ってた山田くんかな。」

「ええ〜!?」


びくびくと心なしか怯えている燐を鼻で笑う。サタンの息子と言われても所詮は高校1年生。ちらりと雪男と燐を見比べ次は笑みがこもった意味で鼻で笑った。雪男が専用の”鍵”で扉を開けると、そこは地下に建てられた古い建物だった。


「ここが正十字騎士團の中枢だ。」


ほぼ燐のためにぺらぺらと説明する。ただ、燐はそれどころじゃないらしく聞いているのか聞いてないのかわからないとこだった。そのとき、海斗が最も苦手とする人物の声が言葉を発した。


「その通り、それが我々正十字騎士團です。お久しぶりですね〜☆海斗。」

「…メフィスト。」

「まさかまさか貴方が観察として塾に潜入していたとは! 私知る由もありませんでした。しかもしかも貴方が引きずってでも連れてこいと私のこと呼ぶなんて、以前より積極的になりましたね☆」

「(…あんなこと言うんじゃなかった…。)単刀直入に聞く。…よくも本部に黙ってサタンの子を隠してやがったなあ。お前、一体何を企んでいる。」


メフィストの考えが読めずに目を細め睨むようにして問いただす。だが、まるでわざとらしく演技のように対応するメフィスト。その光景に燐は静かに聞いていた。
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