とりあえず隣座ってろ。

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おかしい。確信に変わったのは目の前で人が銃で撃たれたのを見たからだった。躊躇もなく人が処理されていく姿に何度も吐き躊躇っていたが周りがそれを許すはずもなく、強制的に人を切らされた。初めて肉を切り裂く感触に震えた。半年は罪悪感と恐怖に取り憑かれまともに寝れた日なんてなかった。何度も殺されかけ、ここで死ねたらと思うも、殺された人々が雑に処分されていく姿を見るとあぁはなりたくないと頭の片隅で思い出す。そして今日も俺は目の前の肉を切り裂く。







「あとは自分たちでできるだろう。」

「はい! ありがとうございます。」


カランとトレーの上に最後の弾を出し終える。手袋をゴミ箱に投げ捨て、手術室から出て行くロー。あの戦闘後、海軍から無事逃げ延びたハートの海賊団は出港し水中へ潜っていた。


「キャプテン、お疲れ様です。」

「あぁ。お前は今日の勲章はできてねぇのか。」

「俺だって最近は強くなったんですからしょっちゅう傷作ってないですよ! ちなみに今日の分はこの切り傷ですね。」

「出来てんじゃねぇか。」


左腕に巻いている包帯を見せながら笑うシャチに釣られてフッと笑うロー。手を洗面台で洗っているとどうにもその場を動かないシャチに首を傾げる。


「なんだ、まだ用か。疲れたからもう休みたいんだが。」

「あー…そうっすよね。」

「歯切れが悪いな。さっさと言え。」

「本来ならクルー同士で解決すべきなんですが…カイトのことでちょっと…。」

「…あいつまだ変わってねぇのか。」

「すいません、俺ら結構話しかけたりしたんですが…。」

「いや、いい。お前らの問題じゃねえから気にすんな。俺が行く。」

「え、いいんですか。」

「あぁ。お前もやることやったならもう休め。明日には救護班が休むからな。」


シャチからカイトの居場所を聞き出しその場所へ向かう。あの戦闘後カイトの様子がおかしくなっていたのはクルー全員感じていた。部屋でぼーっと水中を眺めているカイトに皆言葉をかけるも心ここに在らずのカイトは曖昧な返事しかしない。交流が深くないクルーからは戦闘中に豹変したカイトに驚き少し距離を置かれてしまっていた。


「入るぞ。」


ローの言葉に返答はない。見向きもされないローは眉を寄せカイトの元へ歩み寄る。座っているカイトに再度声を掛ける。さすがのカイトも振り向きローを見上げる。その無気力な瞳にカッとなったローはカイトの胸ぐらを掴み右頬を殴る。


「っ何する!!」

「ようやく見たな。いつものお前なら避けれた筈だぜ。」

「お前…!」

「あの時なぜ船長命令を無視した!!」


ローの怒鳴り声でビクッと体を震わせる。戸惑っているカイトの胸ぐらを解き返答を待つ。潜水艦の音だけが鳴り響く中、ようやくカイトは口を開いた。
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