不運はつきもの。
□6
1ページ/1ページ
「ん…? 縮んだか? なんか少しきついような…。いや、違う! これは…太った!?」
コビーと。
カイトは悩んでいた。ここ最近デスクワーク続きで運動不足ということに。そもそも書類書きが苦手な海兵が多いせいか、嫌いでも好きでもないカイトに書類が回ってくることが多く感じられた。海へ出たのはもう5日も前のことで、出たとしても手応えがないものばかりで本部から遠く離れた島へいる同期を少し羨ましく思えた。
「(見た目はそんなに変わってないが触られたらバレるレベルか…な…。ここ最近何故か大将や七武海からのスキンシップ?も多いからバレたら…。)」
いつものセクハラメンバーの反応を想像するだけで腹正しく思うカイト。このままではダメだと思い色んな案を考えるが今の業務を考えると難しく、困ったようにふと窓から見える外へ見るとぱっと目を丸くした。
「どうしたコビー、ヘルメッポ。俺はまだ立ってるぞ。膝をつかせるんじゃなかったのか?」
「っま、まだまだ!」
「うぇ!? お、俺だって…!」
ぜぇぜぇと体で息をするコビーとヘルメッポにふふと笑うカイト。先日外で鍛錬をしていた2人を見つけ、すぐ様ガープにその鍛錬に付き合わせてくれないかと頼み込んだ。快く了承してくれたガープに、少し身勝手すぎたかもしれないと反省をしつつガチガチに緊張をした2人に組手の相手をした。毎日はできないが1つずつ丁寧に教え、最初の頃より多少は進歩していくのであった。それが1週間前の話である。だがカイトの体についた余分な肉は完全には落ちていなかった。
「大丈夫かヘルメッポ? 結構時間を使ったな…ここら辺で今日は辞めとくか。」
「イマイ少将! まだ俺は動けます! 最後にもう一度お願いします!」
「仕方ないな…これが本当のラストだからな。ヘルメッポは水をもう一杯ずつ持ってきてくれないか? 急がなくていいから。」
「わかりました!」
ヘルメッポが動き出したのと同時にコビーが構え、飛び込んでくる。カイトはかわし、蹴りを入れる為脚をあげるのであった。
それから5分も経たないうちにコビーは尻もちをつき、今日の鍛錬は終わりを告げたのであった。
「また1分伸びたな。伸び代があるなぁコビーは。」
「はぁ、はぁ、勿体無いお言葉ありがとうございます!」
「体格もここに来た時より随分逞しくなった。お前らの成長には驚かされる。さすがガープさんにしごかれてる事だけあるな。」
「あはは…ここに居たら嫌でも強くなれる気がします。それがとても嬉しい限りです。」
肩の力を抜いた2人が談笑しながらその場を離れようと歩き出した瞬間、コビーの右脚のつま先に何かが絡みついてそのまま前へ倒れこむ。前方には背を向けていたカイトがいたが、コビーの焦った声を聞き振り向いた途端倒れ込んだコビーをすぐには受け止めきれず後ろへ2人仲良く地面倒れ込んだ。
「うわあ! …いたた…す、すみませんイマイしょうしょ…う。」
「……。」
鍛錬を行っていたのは少し広めの庭のような場所だった為か、絡まった草同士にコビーが運悪く引っかかりこけたのであった。その草を恨んだコビー。目の前には押し倒した状態のカイトがいた為だ。よく見るとコビーの手はカイトの両太ももを下から抱え込むような形で持っており、カイトの膝はまるで後転するかのように地面に着きそうであった。その為かカイトのスラックスはぴったりと脚のラインを出しており、特に尻や太ももは触ったら肌を直接触っているような感覚に陥るんじゃないかと思うような綺麗なラインであった。
「あ…。」
そんなカイトの下半身を直視してしまったコビーはハッとし思わず手の力を少し入れ目をそらすと、唖然とするカイトの姿が。だがみるみるうちに顔が赤く染まっていき真っ赤になった瞬間、コビーは大きく心臓が鳴り始め顔から火が出るほどの熱を感じた。だが気づいた時にはカイトの表情は赤く染まったまま怒りを表していた。
「コビー…早くそこを退きやがれええええ!! 蹴り倒すぞ!!!!!!」
「も、申し訳ございませんんんんんんん!!!!!!!!!」
ヘルメッポが戻ってくると正座でガミガミ叱られているコビーがおり、初めて見る怒りのカイトに何をしたんだコビーとおろおろするのであった。
「(体が鈍ってるな…久々にガープさんに俺もしごかれようかな…。いや、そろそろ俺にも海へ出て骨のある仕事を貰えるよう上へ頼んでみるか。)」
「(はぁやらかしてしまった…。イマイ少将は忘れろって言ってたけど、あんな光景見たら忘れられないよ…撫でたかったな…。)」