不運はつきもの。

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「も、申し訳ございませんイマイ少将!!!! お怪我はありませんか!!!??」

「大丈夫だってば、ただの水だろ? 能力者じゃあるまいし。」

「ですが私の不注意には変わりありません。もしお風邪を引かれては…すぐに拭く物をお持ち、」

「まあそう慌てるな。そんなヤワな体していない。だが流石にこのままだと示しがつかないな…部屋に戻って着替えるからお前は持ち場に戻れ。」


ドフラミンゴと。


「フッフッフ。どうしたカイト〜今日は随分と男前になってるじゃねぇか。」

「ゲッ…ドフラミンゴ…。」

マリンフォードの廊下で似つかわしい色を着こなしながら向かいから歩いてきた人物、七武海ドフラミンゴ。いつも通り口角をこれでもかとあげてサングラス越し目の前の男、カイトを見つめていた。一方のカイトは先ほど外へ行こうと扉をくぐった瞬間、上から落ちてきたバケツをモロに被り全身ずぶ濡れ状態であった。海兵が掃除をしようと塀にバケツを置いた時、誤ってぶつかってしまい落下したところを、たまたま通りかかったカイトが被害を受けた。1番の救いは、まだ水が未使用だったということ。

「めんどくせぇ招集がかかったから来てやったけどよ、久々のカイトに会えたんだ。」

「最近は本部にいなかったからな。ちゃんと来ているようだな。感心感心。」

「オメェがいると思ってたからな。見ねえと思ったらそういうことだったか。」

「招集の度俺を探すな。…ちゃんと会議の話を聞くように。それじゃあな…っ、おい、何のマネだ。」

「つれねぇな〜カイト。もうちょっとお喋りしようぜ。」

その濡れてんのも、また体質か?といえば眉間のシワがさらに濃くなるカイト。ドフラミンゴの隣を通り過ぎ自室へ向かおうとした瞬間、ピタッと固まるカイト。すぐに能力だと気づくとジロリと目線を後ろに向ける。

「お前には関係ないことだ。すぐに解放しろ、ここを何処だと思ってんだ。」

「フッフッフ、図星かよ。どうせ水ぶっかけられたとかそんなんだろ?」

「…。」

「相変わらずだな〜可哀想に。フッフッフ。」

「思ってもないこと言うな鳥。」

「まあまあそう言うなって、俺が言いてえのはそう言うことじゃなくてだな。」

「? っ、ちょ、何してんだ!!」

「こんな格好で堂々と出歩くなってことだよ。」

真後ろに来たドフラミンゴはススっとカイトの身体のラインをなぞる。水気を含んだシャツは身体にぴったり張り付いており、自分の手より大きい手がゾワゾワした感触で鳥肌を立たせる。覇気を使って糸を切ろうにも、身体を巡る手の何ともいえない感触のせいで力がうまく入らない。

「あーあー所々透けてるじゃねぇか。もっと良い服やろうかカイト?」

「黙れ、いいから、っサッサと離しやが、イ”っ!!!」

「イイって? そんな格好で言うなよ誘ってんのか?」

濡れたせいで胸元の突起物が透けて見えてるのをいいことにギュッっと摘むドフラミンゴ。痛みが全身に駆け巡る。その瞬間いきなり身体の拘束が解け、ドタッと尻餅をつくカイト。そしてファサッと音が聞こえ、背中に温もりと目に悪いピンク色が見える。

「フッフッフ、タイムリミットだ。」

「これドフラミンゴ! 集合時間は守れとあれほど言って…そこにいるのはイマイかい?」

「つ、つる中将…。」

「ちょっとカイトとお喋りしただけだって。」

「っ早く行けドフラミンゴ。つる中将に迷惑をかけるな。」

「はいはいって。会議終わったらコート取りくるからよ〜。」

「こんな物今すぐ返す!」

「そう言うなって、風邪引いちまうかも知れねえだろ? それに他の奴らに目の毒だからな。」

「はあ〜??? …とりあえずお前が帰って来るまでは預かっといてやろう。感謝しろよ。そして次あんなことしてみろ、ただじゃ済まねぇからな!!」

「(フッフッフ、こんな姿他の奴らに見せてたまるか。それになんだかんだコート着やがって、ちょっと引きずってるのかたまんねぇ。)」

「(全くドフラミンゴの奴…イマイの鈍さもそろそろどうにかしないとね…。いつか取られてしまうよ。)」


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