とりあえず隣座ってろ。

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そう、あれはただの事故だった。雨でタイヤがスリップし道から反れ、林の中へ1台の車が落ちて行った。大きな衝撃と共に光の速さで全身に痛みが伝わる。意識が失っていくのを感じ、俺は死んだ。







会話をしようものなら、耳元で喋らないと聞こえないような騒がしい声。色んな匂いで溢れる空気。ここは、平和な街だと皆が口をそろえて答えるだろう。どの店に入っても笑顔で迎えてくれる人々は、大海賊時代ということも忘れさせるほどのものだった。海軍にも目を着けられないほどの小さな島に、ある海賊が上陸していた。


「はぁ、でも女は冷たいんだな…。」

「いや、お前なんかに着いていかない頭がいい女だ。冷たくなんかない、いい判断だ。」

「…ペンギンが一番冷たいな。」

「そうか?」


海賊の印がでかでかと描かれた白いつなぎを身にまとった男2人。ずかずかと話しながら歩く光景は、この島では少し異様だ。


「うぅ、ちょっと寒くなってきた…。さっきは暖かかったのに…。」

「お前聞いてなかったのか? ここの島は昼は夏の気候だが夜は冬の気候になるところだって。」

「あぁ…なんかそんなこと言ってたな…。忘れてて下、1枚しか着てねェや…。」

「ばっかだなあ相変わらず。俺さっき服買ってたの見てただろ? まぁ、今日は船に戻るか。」

「その前に船長を探してからだな。」

「本格的に寒くなる前に見つけるぞ。」

「りょーかい。」


風が冷たく感じる頃には道は昼の半分の人になっていた。皆首にはマフラー、服も2,3枚多く着ていた。2人も急ぐように歩き店を覗くようにして探しまわった。時刻は8時を過ぎていた。


「やぁ〜っと見つけた。船長帰りますよー。」

「おせぇぞ。もう9時近いじゃねえか。」

「お迎えが必要なのによく言えますねえ。ほら、ベポも起きろ。」


船長ことトラファルガー・ローがいたのは酒場だった。人はたくさんいたが海賊のような下品な男は1人もいなかった。店の中は外と比べると暖かく服一枚で過ごせるほどだった。勘定を済ませ外へ出ると雪が降っており軽く積っていた。ローは用意していたコートに腕を通し先頭を切って歩き出した。


「あーもう積ってきちゃってるよ。早く帰ろうぜ寒い!」

「うわー久々の雪だ!! 遊んで帰ろうよ!」

「明日船の近くで遊んでいいから立ち止るな。」


部下3人が元気よく騒ぎながら歩くこと数分。森の近くを歩いていると奇妙な音がしローが立ち止る。それに反応し何事だと辺りを見渡すと獣のような鳴き声が聞こえる。音が4人に近づいてくると森の方から何かが飛び出してきた。戦闘態勢に入り辺りを見渡すと狼が囲んでいる。


「どこが平和な街だよ…!」

「速いな…。ベポは後ろシャチは右ペンギンは左でいけよ。」


ぐるるるると鳴く狼はよだれを垂らしながら瞳を光らせる。実戦経験がまだ浅いペンギンとシャチはごくりと唾を飲む。ローも能力を無駄に使いたくないので、切り倒す勢いで刀を構える。狼が飛びつこうとしたその時、一体の狼の体が上へと飛ばされた。
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