ホエ面かかせてやる。

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―今日の天気は全日本曇り1つない快晴となるでしょう。温度は昨日より上昇し、23度から26度まで上がるでしょう。
アナウンサー独特の発せられた声は耳を通じて嫌でも頭にはいってくる。発せられた言葉に顔を歪ませ小さくため息をつくと、今では着慣れてしまったパーカーに袖を通す。このような生活がいつまで続くか考えるだけで頭が痛くなるようだ。
同様に履きなれてしまった制服のズボンの後ろポケットから鍵を取り出し穴へ差し込むとそこは、遊園地だった。





「…強化合宿で炎を出したのは2回、か…。」


正十字学園遊園地、通称「メッフィーランド」内。本日、山田もとい、霧隠海斗含む候補生たちは幽霊退治の任務にやってきていた。生徒達はそれぞれ2人組に分かれて捜索に専念していた。
海斗と一緒の組になった勝呂は微妙な距離と空気を保ちながら捜索している。根は真面目な勝呂は真剣に探し、時々海斗の方をチラチラ見ている。海斗はというと奥村燐のことが気になり適当に辺りに目をやる。この間のネイガウスの一件から教団側の意思が読めなくなり苛々が募る。


「なーんか胸騒ぎするんだよなぁ…。」

「さっきからぶつぶつ何言っとんねん。」

「こっちの話。」


海斗の発言に、元々から強面である勝呂の眉間に皺が寄りますます迫力が増す。そのとき目の前の大きなジェットコースターの一部が大きな音と共に煙をたてて崩れた。それを間にあたりにした2人は吃驚した表情で見た。


「何やアレ、何が起きた!?」

「………(まさか、さっきの微かに見えた青いのは。)」

「!? おい! どこへ…ゲェ!?」

「(サタンの息子だってばらしてもいいのか奥村燐ってのは…。上から言われてねえのか?)」


素早くその場から移動する。途中地震が発生したり現場へ近づいていくにつれ大きくなる衝撃音に足を速める。発信源の2人を見てごりっと奥歯を噛みしめる。すぐに戦闘態勢にはいり個性的な格好の悪魔に切りかかる。


「…こうなったら剣を折ってしまおうかな。」

「な!? 何を…。」

「”八つ姫を食らう”」

「!?」

「”蛇を断つ”!」

「?」


八俣遠呂と掘られた刺青がある胸元から魔剣を取り出しアマイモンに切りかかるが、降魔剣によって受け止められる。アマイモンと燐に戸惑いが生まれる。


「キミは誰ですか?」

「お前地の王アマイモンだな。お前みたいな”大物”がどうやってこの学園に入った。メフィストの手引きか?」

「邪魔だなあ。」

「邪魔はそっちだ。」


睨みあうなか、燐が体力の限界に達したのか膝から落ちた。それを見たアマイモンはだんだんとやる気がなくなり降魔剣を鞘に納める。興味がなくなったアマイモンは降魔剣を投げ捨てた。


「やっぱやめました。またの機会に…。」

「! 待てコラ!! …チッ、にゃろぉ完全に遊んでくれたな…! おい! すぐ人が集まるその尻尾は隠しておけよ!」


既に炎が消えた燐を確認し、アマイモンを追いかける海斗。ぴょんぴょんと建物を器用に飛び移る。だが、すぐ立ち止り海斗の方へ向く。吃驚した海斗だがすぐに魔剣を構える。


「アナタとはまた違う機会に殺り合いましょう。少し興味がわきました。」

「これ以上こちらに被害与えるなら、またと言わず今でもいいんだぜ…?」

「積極的なとこは嫌いじゃありません。それでは。」

「あっそりゃ反則だろっ…!」


アマイモンは素早く”鍵”で部屋を開けて消えてしまった。ため息を吐くと魔剣を同じ場所に戻す。頭を切り替えすぐに元いた方向へ折り返す。
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