candy.
□息が止まるのがわかった
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人っていつ、どうやったら死ぬんだろう。
最近、そんな事を考える。
刺された時?殴られた時?高い所から落とされた時?大切な人を奪われた時?
多分、ちょっとしたことで死ぬんだろうな。
人間は、脆いから。
じゃあ、平和島静雄は?
ナイフで刺されても鉄で殴られても学校の屋上から落とされても、病院すら行かず完治してしまうあの男は、どうしたら死ぬんだろう。
僕が、誰かに奪われたりしたら、哀しみで死んだりするのだろうか。
「ねぇシズ?」
「あん?」
放課後の誰もいない教室で、僕は前の席に座るシズに聞いた。
「僕が居なくなったら、シズは死ぬ?」って。
隣の窓から差し込む熱い日差しが、捲ったシャツの袖から露出した肌を焼く。
ジリジリと、ジリジリと。
気持ち悪い質問だったと思う。
少なくとも、こんな夕方に開け放された窓の横で、机を挟んでするような話ではなかった。
それでもシズは、引いた様子もなく答えた。
たいして考えてもいなそうに。
「さぁな。居なくなり方にもよる」
予測通りの答え。
そりゃそうだ。その時の状況にもよる。
「そっか」と、自分から聞いたわりには興味無さそうに、僕は頷く。
「でも、シズが異常なのは身体的であって精神面は常人と変わらないもんね」
「ん?…あぁ…まぁそうだな」
「シズ」
僕とシズが挟む机に乗って、左手の指を金髪に絡ませた。
「玲央?」
「ふふ」
右手をシズの滑らかな首に這わせて、机に乗ったまま形の良い唇を猫のように舐めた。
そしてそのまま、唇を合わせる。
背の低い僕が机の上に乗ったところで、椅子に座るシズとキスをするのにそこまで差し支えは無い。
ただ少し、シズに顔を上げてもらうだけだ。
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