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□目が覚めたら一番に君を
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朝。ルーシィは普通に目を覚ました。
普通に。いつも通りに、だ。
いつもなら、そこにあるのは白い天井のはずなのに。
なのに、今見えるのは、ナツの顔だった。

しかも、かなり近い。距離は7センチほど。
叫ぶのも忘れ、ルーシィは固まる。

「ルーシィ…」

至近距離から呟かれる甘い声に、手に力が入った。

「早く飯作れよ」
「そんなところだと思ったわよ!!」
「ぐぉっ」

横になった体制のままとは思えないほど力が乗った、ルーシィの右ストレートがナツをぶっ飛ばした。

壁に衝突したナツに、ルーシィはビシィ!と指差して、捲し立てる。

「なんなのよあんた!なんで朝からいるの!?てか近い!!朝ごはんたかりに来るな!!!」
「おぉ…流石、寝起きでもうるさいのは変わらねぇな」
「次は蹴られたいのかしら」

ごめんなさい」

口ではナツを拒絶していても、ルーシィは潔くベッドから出、洗面所に向かった。

「ちょっと待ってなさい今顔洗ったら朝ごはんつくってあげるから」
「うーい」

ルーシィの隣で寝ていた愛玩星霊のプルーを弄りながら、ナツは返事をする。

文句を言いながらも、ルーシィが自分のわがままを聞いてくれたことにナツは小さく笑った。

「…優しいよな。あいつ」
「ププーン」


暫くして、キッチンから調理をする音が聞こえてきた。
ジューッと何かが焼ける良い匂いがナツの鼻腔に届いた。

「ナツー、甘いの嫌いじゃないわよねー」

質問をしているテイではあるが、全くハテナマークのついていないルーシィに、ナツは「んー」と気の無い返事をする。
…フリをした。
内心では、この状況に嬉しさが込み上げてきて、ニヤニヤしてしまう。

「プーン」

プルーが、震える手をナツの右手にのせた。


コトン、と机に置かれたものは、フレンチトーストとポタージュスープ。それから赤いトマトの乗ったサラダ
だった。

ナツとは反対側に座り、ルーシィは手を合わす。

「せっかく作ってあげたんだから文句は言わないでよね。いただきます」
「言わねぇよ。いただきます」
ルーシィに習って手を合わせ、ナツはフレンチトーストを口に運んだ。
バターとバニラエッセンスの香りが広がり、美味しい。
甘めに作ったようだが決して甘過ぎるということはなかった。むしろ丁度良い。

「…うま」
「何?」
「なんでもねぇ」
「そ。そういえばハッピーは?まさかこんな朝早くからシャルルのとこ?」

もしそうならかなり迷惑よ。と、ルーシィはじと目でナツを見た。
それはハッピーだけに向けられたものではないと自覚しながら、ナツは「まだ寝てる」と簡潔に言った。

「ふぅん。…じゃあなんであんたは来たのよ」
「腹減ったから」
「自分の家で食べて来なさい」
「やだよめんどくさい」
「あたしの家まで来るほうがよっぽどめんどくさいんじゃないかしら!?」
「あー腹いっぱいになったら眠くなってきたなー」
「無視!?」

ルーシィの作った朝食を全て平らげたナツは、大きく伸びをしてルーシィのベッドに倒れ込んだ。

今さらなのか、昔はナツがベッドに飛び込むと悲鳴をあげていたルーシィも、今は何も言わない。
かわりに嘆息をつくのが聞こえた。




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