paint.

□不審者注意!!
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―――はぁ…めんどくさい。


晴れやかな昼下がり。
緩やかな坂を上りながら、いつもの黒い制服(女子バージョン)に身を包んだ燈芽は気だるそうに頭をかいた。

本当なら休憩時間のはずの彼女がこんなところを歩いている理由は、彼女の監査対象である真選組局長、近藤勲にある。

近藤は険の強さはもちろん、無法者の集まりのような真選組の頂点にたてるほど人をまとめるのが上手く、人望もあつい。


―――少し優しすぎる気もするけど。


それもまた、彼の魅力の一つなのであろう。


しかし、誰にでも欠点はあるもので、当然近藤にもそれはあった。

近藤の欠点。それは



限りない馬鹿。



ありえない馬鹿。世界一の馬鹿。
タチの悪すぎる馬――…いや、仮にも上司だし、つい何行か前まで誉めていたのだからこれ以上言うのはやめよう。

もう遅い気もするけど。


で、なんで休憩時間に愚痴りながらもわざわざこんなところにいるかと言うと。

皆さんもうお気づきでしょう。

そうです。姐さんのところにストーキングしに行ったので捕まえに来ました。




…誰に話てんの?これ。



まぁいいや。



長く、少し軋む廊下を歩いてついた先は、大きな庭だった。


池の澄んだ水面が太陽の光を反射してキラキラ光っているし、近くにはまだまだ満開の桜の木がある。


「とても風情な庭で……」


いいかけて、止める。


庭から隣のお妙に視線を移すさい、一瞬おかしなものが映った。

それは、この清らかな庭にはあまりにも似つかわしくないもの。


「…………………近藤ちゃん……」



それは、真選組局長近藤勲のパンツ一丁の死体でした。



「………あれ、おかしいな。局長という地位についてる人ながらありえない格好で死んでる人が見える」

「幻覚でも何でもないわよ」

「てかどこが対処しきれないんですか?非人間的な制裁下しちゃってるじゃないですか」

「いいのよ。ゴリラだから」

「よくないよ」



人権なんてゴミ箱に捨てたのかと思わせる言い分だった。



「じゃ、連れてってくださいね」

「いやまぁ…もともとそのために来たので連れては帰りますが……」

「あ、そうそう」


たった今思い出したかのように手を叩いて、お妙はいつもの笑顔を崩し、不安そうに眉をひそめた。


「最近、歌舞伎町に不審者が出るって聞いたのよ。まだ捕まってないのかしら」




―――めんどくさいですねぇ。土方ちゃんが直接行けばいいのにコノヤロー。


って言った燈芽だけど、「お前仮にも監査役だろ。行け」と言われてしまった。


―――違うのに。監査役って言うのは上部役職…局長と副長の仕事を監査するのであって、別にストーキングとかプライベートなことは対象外なのに。


それ以前に武装警察真選組の局長がストーカーっていうことが大問題なのだがそれはおいといて。


ピンポーン


燈芽は志村邸のチャイムを鳴らした。













―――**















「あらあら燈芽ちゃんこんにちは」

「…こんにちは」


チャイムを鳴らして、出てきたのは志村妙。近藤にストーキングされている張本人。

上品な笑顔を称えているが、その実かなり狂暴なお人である。

「よかったわ、迎えに来てくれて。私一人じゃとてもじゃないけど対処できなくて。持って帰ってくださいね」
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