paint.

□隣に居させて
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―…あぁ

私はこんなに想っているのに


私はこんなに役に立ちたいと思っているのに


貴方の隙間を埋めることは

できないんだろうか











夏目は時々、とても苦しそうにうなされる。

…いや、寂しそうに……。


(また…昔の夢…なのかな…)


眠りながら、眉を苦しそうに寄せる夏目を、和南はボンヤリと見ていた。


夏目の過去は、あまりにも悲しすぎる。


まだ小さな夏目を、愛してくれる人はいなかった。

夏目に妖が見えるから、恐れていた。


なんて残酷な…。


(だから…人間は嫌い)


人間は、儚いくせに傲慢で、自分の目に見えないものは信じようとしない。

目に見えるものが全てじゃないのに。

人間はなんて馬鹿な生き物なんだろう。

愚かだ。



「…う…っ」

「…夏…目…!」


いつもよりも苦しそうに呻く夏目を、和南は上からのぞきこんだ。

夏目の閉じられた瞳から、一筋の涙が流れて行った。


悲しいの?辛いの?苦しいの?寂しいの?

もう忘れてしまえばいいのに。

人間なんて見限ってしまえばいいのに。


レイコのように。


そうすれば、少しは楽になれるのに。



「私に…夏目の為にできることはないの…?」



和南の瞳から、涙が溢れる。





貴方の為なら何でもするのに。

お願い


ありったけの愛情を貴方に向けさせて。










いつか貴方が崩れないよう




支えさせて

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