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魔導士と名乗った少年。グレイ。
私は彼に、憧れを抱いたのかもしれない。
緑草に映る写真
……寝てる。
グレイがいる部屋の薬草を取りに戻ると、魔導士なる少年は豪快に寝ていた。
……何故か半裸になりながら。
たいしたものだと思う。
こんな得体のしれない場所で熟睡するなんて。
ある種の感心すら覚えながら、セルリナは目当ての薬草を取りにいく。
妖精の尻尾。そんなことを言っていたか。
フィオーレ一の魔導士ギルドと詠われる妖精の尻尾だが、ずっとこの森に一人で住んでいるセルリナには聞いたことのない言葉だった。
魔導士の存在はシウンから聞いていたけれど。
彼の言っていた“魔女”というのは、多分自分のことだろうとセルリナは自覚していた。
魔女らしいことをした覚えは無いが、何度か退治をしに来た人間が来ることがあった。
みんな、返り討ちにしたけれど、大きな手負いを負わされた時もあったけ。
最近はめっきり無くなったと思ったのに。
油断しまくった寝顔のグレイを見つめ、セルリナは目を細めた。
この人も…私が魔女だとわかったら攻撃をしてくるのか、と。
なんて、先に手を出したのは自分の方だが。
崖から落ちた金髪の女の子と、それを追う桜色の少年を羨ましくも思ったが、
「やっぱり…シウンがいれば何もいらないや」
薬草の隣に置いてある黒い写真たて。この家唯一の写真に写る白髪の青年に、セルリナはそっと微笑んだ。
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