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□告白
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ーーーいつからなのだろう・・・。
ずっと独りで生きてきたバーナビーは、他人に関心を持つことはなかった。
何かと自分の世話を焼いてくる虎徹のことも、最初は鬱陶しいだけだった。

ーーーそれなのにいつの間にか、そんなお節介が心地よくて、嬉しくて・・・。
こんな気持ちは生まれて初めてだった。虎徹への思いがどんどん大きくなっていく・・・。
この気持ちを伝えられたらどんなに楽だろう・・・。

でも、バーナビーは知っていた。虎徹が優しいのは自分だけではないということを。
虎徹の左手に光る指輪をじっと見つめた。
そんな気持ちを悟られないよう、バーナビーは平静を装った。

「大丈夫ですよ、仕事ですから。」
「そうか?おまえ最近痩せたような気ぃするし、ため息ばっかついてるし。
なんかあったのか?おじさん、話ぐらいなら聞いてやるぞ?」
虎徹はおどけたように言ったが、その眼差しは真っ直ぐだった。

(この人は誤魔化せないな・・・)
バーナビーは、うつむきながら小さく言った。
「・・・冬が・・・冬が嫌いなんです・・・僕は、あの時からずっと独りだったから・・・。」
沈黙が流れた。バーナビーは立ち上がり、窓際に向かった。
そこにはシュテルンビルトの街を見下ろす夜景が広がっている。
「そうか・・・」
虎徹も小さく言った。

「・・・バニー・・・」
ふいに名前を呼ばれて振り向くと、自分のすぐ傍に虎徹が来ていた。
「あのさ・・・俺じゃダメか?その・・・っ、おまえの傍にいるのって、俺じゃダメか?」

「・・・・・・っ?」
バーナビーには意味が分からなかった・・・いや、状況がよく呑み込めなかった。
虎徹はその漆黒の瞳でバーナビーを見つめた。
「・・・バニー、俺は・・・おまえが好きなんだ・・・だから、おまえの傍にいたいんだ・・・。」

「・・・・・・っ・・・」
まだ状況が理解できないバーナビーは言葉が出なかった。
「・・・あ〜ぁ、言っちまったよ。バニーちゃんにはぜってー言わないつもりだったのに。
 ・・・・・・その・・・悪かった、明日からコンビを解消してくれても構わない。
おまえなら1人でも十分やっていけるもんな。
だから・・・おまえを困らせるつもりじゃなかったんだ・・・。
ただ・・・その〜なんだ・・・あれだな、ってあれだよ、その〜・・・・・・悪かった・・・。」
虎徹はポリポリと頭を掻きながら、バーナビーから視線を逸らした。
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