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□告白
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シンと静まりかえったオフィス、そこにはキーボードを打つ音だけが響いていた。
バーナビーは小さくため息をついた。
すっかり冷えきった空気は、どことなく澄んでいる。

冬は嫌いだ・・・毎年そう思う。
両親を失ったあの日・・・その時からずっと独りで生きてきた・・・。
そんなことを考えていると突然、オフィスのドアが開く音がした。

「あれ・・・バニー、まだ居たのか。残業か?」
振り向くとそこには、自分のバディである虎徹の姿があった。
「ええ、報告書が溜まっていたので。」
もう帰宅したと思っていた虎徹が突然目の前に現れ、バーナビーは少し驚いた。
「あなたこそ、こんな時間まで何してたんですか?」
「ああ、トレーニングして帰ろうと思ったら斎藤さんに呼び止められちまって。いつものスーツの性能がどうのこうのってやつ?延々と語られちまってさ。」
虎徹はそう言って首をすくめて見せた。
「それよりバニー、おまえ最近疲れてない か?ここの所ずっと忙しかっただろ?」
虎徹は心配そうにバーナビーの顔を覗き込む。
虎徹の顔が近づくと、バーナビーは少し顔を赤らめて視線を逸らした。

確かに人気者のバーナビーは、ヒーローとしての犯罪処理や人命救助のほか、イベントや取材、グラビア撮影など多忙な日々を送っていた。
でも、クリスマスに浮かれる街に取り残され、独りきりで過ごすバーナビーにとっては、忙しいくらいのほうが気が楽だとも思っていた。
そんなバーナビーを、虎徹は本気で心配してくれている。
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