バイオハザード短編更新
□ささやかだけど幸福な時間
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大切な用事があるからとスペクターに呼ばれた名無しさんは半信半疑で彼の部屋に訪れた。
スペクターの部屋にくるのは初めてで、名無しさんの心臓は今にも壊れそうなほど高鳴りしていた。
一回深呼吸をしてドアをノックした。
すると、部屋の奥から返事が返ってきて、静かにドアが開いた。
「来たか……まぁ中に入れよ」
部屋の中に案内されると、意外にも部屋がキレイに片付いていて落ち着きのある黒い家具で統一されていた。
いつの間にかキョロキョロと物珍しそうに部屋を見ていたらしく
「あまり見るなよ………」
と言われてしまった。
「ねぇねぇ?用事って何なの?」
「まあ待っていろ………今持ってくる…」
スペクターはキッチンへ向かっていった。
そしてその手にはいかにも高そうなワインがあった。
「これを一緒に飲みたくて呼んだんだ。」
その時のスペクターはほのかに赤かった。
その様子に名無しさんはくすりと笑った。
名無しさんが横に座ると、スペクター近くにあるワイングラスを2つ取り出して、注ぎ始めた。
「ん〜、いい香りだね」
「まあ、それなりの値段だしな」
口角を上げたスペクターは名無しさんにワイングラスを渡した。
一口飲むと口の中にワインの甘味が広がった。
「おいしい!これいいね!」
「だろ?ほらっもっと飲めよ!」