黙示録 -Apocalypse-

□第七章
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「お疲れさーん。着いたぜー」
「…や、やっと着いたぁ〜…」


エドガーの声に、優はへなりと庭先の通りに崩れ落ちた。
結構な距離を走ったというのに、シンやアナスタシアは一切息を切らしていない。へたり込んだ優の横で、メイファに至っては通りの真ん中で大の字になって息を整えるのに必死なようだ。

「まぁ、二人とも。人が来ますわよ?」
「わ、分かってるけど…、膝が笑って立てない〜…」
「おいおい、若いもんが情けねぇなぁ」
「どこのおっさんの発言アルか〜…」

アナスタシアの手を借りて、メイファは未だ肩で息をしながら立ち上がる。

「優、立ち上がれる?」
「ま、待って…まだむっちゃ膝が笑ってる…」
「…はっ。情けねぇの」

頭上でそう声がしたかと思うと、グローブに包まれたシンの手が差し出された。

「ほら、とっとと立てよ。まだ油断出来ねぇんだから」
「……」

優は暫くその手を凝視し、そして上目遣いでシンを睨むように見た。

「どーも、あんがとっ」

ぶっきらぼうに言い、優はその手を取って立ち上がると、露骨に手を放す。

「………」

そのまま優はくるりと背を向け、誰にも見られない角度で彼の体温の残る掌に視線を落とした。

「まっ、遠慮せず入りな。事前に連絡入れてねぇけど…ま、いっか」

エドガーの背中を追って、優達は家の中に招かれる。玄関に入るなり、奥から香ばしい焼き菓子の香りが立ち込めてきて、皆の食欲を誘った。

「おーい。帰ったぞー」
「…あら?──エドガー、お帰りなさい。今日は随分早いのね」

襟足で結われた栗色の髪を揺らしながら、エプロン姿の女性が駆けてきた。

「ただいま、リネット」

柔らかく微笑み、優達の前だと言うのにエドガーは女性の頬に口付けを送る。その行為に、まぁ、と、女性は困ったように笑っただけで、咎めたりはしなかった。

「紹介しよう。俺の妻のリネットだ」
「初めまして、リネット・ロックウェルです。──ちょうど良かった、今からお茶にしようと思ってアップルパイ焼いてたの。よかったら召し上がってね」

そう言って微笑んだ顔は、とても嬉しそうだ。

「エドガー。お客様を応接間にお通しして?すぐに紅茶とアップルパイを持っていくわ」
「おう」
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