黙示録 -Apocalypse-
□第一章
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旧世紀の人類は、世界規模で核兵器を用い、大戦争を展開させていった。
数年に及ぶその戦争は、世界を滅亡させるのに十分過ぎた年月であったと言う。放射能に汚染された大地に作物は育たず、漂う大気は有害で、最早地球は生物の住める環境ではなくなっていた。
だが、驚くべき事に核戦争の終結した後の世にも人類は生きていたのだ。
僅かに残っていた人類は世界の再建を試みた。そして少しずつ、ほんの少しずつではあるが大地と大気を浄化させ、およそ千年かけて人類は世界を再建させる事に成功した。
そして、その千年の間に人類は俗に言う魔法の論理の解明にも成功した。
自然界における物質の特性を理解し、彼らは一切の事象を己の精神力次第で生み起こせる事となったのだ。
(…っては聞いてるけど)
優のいるジャパンは魔法の論理が浸透していない。ジャパンは世界が再建した後も、未だに旧世紀の科学技術に頼り切っている。
理由は単純明快──便利だからだ。
魔法の論理が既に大衆化している西欧諸国は、当然ジャパンの事を快く思っていない。だが、彼らにとっての最大の敵は別にある。
(合衆国に比べたら、ジャパンは大分大人しいよね)
世界のあらゆるところに油田を設けた合衆国は、石油を採掘し、嘗ての科学技術を用いて国民の生活を支えている。
このアメリカのやり方に、当然西欧諸国は猛反発した。だが合衆国側は意に介した風もなく、西欧諸国を一切相手にしようとしなかった。そんなアメリカに、西欧諸国は用心深く動向を探りつつも、何かあったらすぐに応戦出来るよう準備を調えていると以前ニュースで言っていた。
(まぁ、あたしには関係無いし…)
離陸し、窓の外に広がる雲海を眺めながら優は溜め息をついた。
フランスに着いたら気を付けなければならない。ジャパニーズというだけで、敵対視されるだろう。
(ビザと…滞在許可証持ち歩かなきゃ…)
優は大きく溜めていた息を吐くと、座席に深くもたれかかるようにして、遠い異国の事を思いながら眠りについた。
to be continued...