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□第七章
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「…何だ、これは」
「指切りげんまん。なに、もしかして知らないの?」
「馬鹿にするな」
「じゃあ、いいじゃん」

おずおずと右手を差し出したルシオの小指を取り、梨乃はまた笑った。そんな彼女の笑顔に、ルシオは胸の中に何か温かいものが広がっていくのを感じていた。



◇◇◇



仲間達と合流し、梨乃とルシオはスカイテッド郊外に止めていた飛行艇へと乗り込んだ。
同行する決意を固めたルシオに、仲間達は別段何も言わず、ただ今までと変わらず接していた。

「さーってと。飛行艇、里に返しに行きましょっか」
「え、もう返すのかよ!俺、もっとこれに乗りてぇ!」
「あたしもあたしもー!」
「うっさいわね。こんなの、おいそれと使うもんじゃないのよ」
「ホリィのケチ!」
「うるさい。黙れ」
「ケチケチばばぁ!」
「…エルウッド。──ぶっ殺す!」
「ぎゃあ!」

操縦桿を片手にホリィは器用に杖を振りかざし、その瞬間、エルウッドの足元に小規模の落雷が落ちてエルウッドは後ろに跳びすさんだ。そこに更に追い討ちをかけるように火炎弾が打ち込まれ、エルウッドは情けない悲鳴を上げて後ろに逃げていった。

「あ…おーい、ルーシオ!」
「うぶっ!」

エルウッドに背中から飛び付かれ、後部にある計器を物珍しげに眺めていたルシオはそのまま顔から硬い盤に突っ込んだ。

「…っ何をするんだ、お前は!」
「おわっと!」

振り返り、双竜刀の一閃を後方に跳ぶ事でエルウッドは回避する。

「へへっ、残念」

悪戯っ子の表情で笑ったエルウッドに、ルシオは小さく舌を打った。

「…あのさルシオ、」
「…?」

打って変わったエルウッドの声色に、ルシオは不可解そうに双竜刀を収めた。

「何だ」
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