短編集
□中毒症状
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――1日目
始まりは些細なことだった。
適当にサイトを巡っているときに、
『入り口』と書かれたボタンをクリックしたのだ。
黒い背景にピンクのスクロール文字。
いかにも、なサイトだったが ためらいはあまりなかった。
(どうせ、出会い系でしょ)
ベッドに寝っ転がったまま 画面をスクロールしていって 驚いた。
(なにこれ…きもちわるぅ)
ノーパンで脚を開いたり、裸の胸を見せつけたりする女の写真が 延々並び、横にはランキングがつけられている。
お風呂場、自分の部屋、中には明らかに外で撮られているものもあった。
それぞれの写真の下には投稿者のコメントが添えられている。
「ムラムラしておかしくなりそう…///」
「犯して…」
「今オナッてます…/////」
中にはメアドやケー番を載せた大胆なものまであって 唖然とする。
(馬鹿じゃないの、こいつら…)
そうしたコメントの隣に
#74やら#170 と表示されているのに気づいて
クリックしてみる。
途端に、画面いっぱいに文字が表示される。
「かわいいお○んこだね けんと」
「愛知住みだけど会える?
よければ連絡ちょーだい ゆうや」
「メールしようよ すばる」
写真への感想がずらりと並ぶ。
数字は 写真への感想の数を表すようだ。
(うわぁ…)
ほとんどがメールのやりとりや直接会うことを誘うもので
顔がひきつる。
(こんなとこでサカッて、変態じゃん)
ご飯に呼ばれた私は
携帯をベッドに放って自分の部屋から出た。