朝、あなたに出会って
□5、震える肩と 惑う指先
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「それにしても、もえちゃんが来てくれるなんてねぇ。」
にこにこと微笑みながらクッキーを どうぞ、と出されて
私は曖昧に頭を下げた。
「まゆの友達がうちに遊びにくるなんて
もしかして、初めてかもしれないわ…。
ありがたいこと。」
うちの子がお世話に、と言う声は
ペースこそゆったりしているが、まゆによく似ている。
それも当たり前だ。
このいかにも育ちの良い、といった風の上品な女性こそが
まゆのお母さんなのだから。
(っていうか、雰囲気違いすぎ…)
庭の花も、表札も
それから私の座るレースのソファも
この人の趣味だと思えば納得がいく。