朝、あなたに出会って

□3、息が、とまりそう
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「…まーゆちゃん。」

すっと額から手が離れて、目の前に色が戻って来る。

「…え…?」

向かいには美代子さん。さっきと何一つ変わらない笑顔を浮かべている。
(今の、なに…?)

「どうしたの?ぼーっとしちゃった?」

目にかかった髪をかきあげて、美代子さんが顔をのぞきこむ。

その瞳と見つめ合った瞬間。


「…っ!?」

体の熱さがじゅん、と戻って来た。

いや、むしろ酷くなっている。

思わず体を丸めれば
ブラの内側でかたくなっている乳首が擦れる。

壁はなくなって、蜜が直接、美代子さんの膝に滴り落ちる。

その蜜のわずかな感覚にさえ、ピクリと腰があがる


(なに…これ)

たまらなかった。

周りの景色はぶれて、美代子さん以外よく見えない。

自分の喘ぐような吐息も、体の熱ともどかしさを駆り立てていた。

「美代子…さんっ」

唇から、声がこぼれる。

美代子さんにくったりとしなだれかかったまま、体は絶えず痙攣しつづける。

助けをもとめるように美代子さんを見上げれば、あごに指をかけられた。
すっと首筋にそれが降りてきて、ぞくぞくする。

「ご褒美あげるって、言ったでしょう?」

クスッと笑う美代子さん。

「ぁ…」

その顔がゆらりと揺れて、私は自分が泣いていることに気がついた。

(な、んで…)

混乱しているわけではない。
恐怖しているわけでもなかった。

動きを止められない身体とは裏腹に、心はおだやかに静まっている。

ぐっ、と強く抱きしめられて、涙とともに蜜も伝う。

甘い香りの中で私は あぁ、と声をもらした。

私は嫌で泣いてるんじゃない。

ただ

(気持ち、いいんだ…)


自覚したとたん、新たな涙がまたこぼれて、顎から鎖骨に落ちる。

(私 今、気持ちよくて、幸せなんだ…)


「んー、よくなってきたみたいね?」

美代子さんの声が柔らかく響く。
でも、頭が重くて上がらない。

うなだれた格好の私の頭を美代子さんがぎゅっと抱く。

「まゆちゃん、脚、ひらいて?」

優しく言われれば、意味を理解するより先に 身体が動いていた。

「いいこ。じゃあ、さっきと同じこと、してみましょうか。」

え?、という声が重い唇から出るより早く 、
美代子さんの指が私の太ももに触れる。

つ、と際どい所を撫でられ、反対の手でぐっとお尻をつかまれて、電車の時のようにされるのか、と理解する。

「…ゃ…っ」

―…へぇ?

反射的に拒絶の言葉を口にしかけ、私は固まった。

―本当に、いやなの?

美代子さんの声が胸の奥で聞こえる。


―いやなら、やめたげる。

艶やかな声に、顔がひきつる。


(今、やめられたら)


おかしくなってしまう


(でも…
でも、このままじゃ、また…イっちゃう…)


電車の時よりも明らかに感度の上がった腰が自然に浮く。

爪でゆるゆるとひっかかれるのにさえ、反応してしまう。

下着のないそこが、期待しているように、そわそわと揺れる。

―どうする?

目の前の、優しく微笑んでいる美代子さんに、妖しい笑顔がだぶって消えた。

「…っ…」

声を出さないように噛み締めた頬の肉は、ほのかに甘かった。
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