短編集

□★Sewing Heart
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「先生、好きです…」

白衣をつかむ小さな手。

まず視界に入ったのはそれだった。

振り返れば俯いて息を殺す つむじ。

サラリと揺れる黒髪の間に
赤く震える唇が垣間見えて、


か細い叫びが頭の中に反響する。


「………え…?」


机から取り上げようとしていたビーカーが
指の間をすり抜けて
鈍く 音を立てて

倒れた。





――【Sewing Heart】
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