たいばに。
□For the now best...1
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朝。
いつも通り変わらない目覚ましの音と、お気に入りの枕を腕に抱きながら目を覚ます。
朝日がちりちりと目を掠めるのが煩わしくて、思わずぎゅうと枕に顔を埋めた。
しかしながら不思議だ。
この枕は寝るときはいつも頭の下にあるのに、何故か目を覚ますと必ず自分の腕の中にいる。
小さなときからあるこの癖は、我ながら子供っぽくて恥ずかしいが、直らないから癖であり、そうであるから厄介なのだ。
しかし…いったいいつ移動しているのか…。
しばらく考えてみるも、やはり寝ている時の記憶などあるわけがないのですぐに諦める。
(あぁ…起きなきゃ…。)
すぐにシャットダウンしそうになる思考の中でぼんやりとそう思いながら、起きよう、と決心すると心の中で10数え、最後の10でばっ!と起き上がる。
今日は朝からトレーニングルームに行くと昨日から決めているのだ。
今は朝の8時。
うん、上々。
今から向かえば一番ノリで着くかもしれない。
はだけた袴の襟を直すと、一度軽く伸びをして襖を開ける。
今日も春らしく晴れ渡った空が眩しくて、春の香りを吸い込むように大きく深呼吸をした。
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