たいばに。
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「…俺は、怖ぇんだ…。」
視界の端に映るバニーの顔と、フラッシュバックのように脳裏に蘇ってくるともえの顔が重なる。
「また…繰り返すんじゃないかって…っ。」
握った拳に力がこもる。
不安で不安で仕方ないんだ。
もし、お前の気持ちに応えて傍にいられたとしても…今度は、きっとお前を……
「僕が死ぬと…、虎徹さんを置いていくと、そう言いたいんですか…?」
少し怒気が含まれたバニーの声は、それでも悲しんでいるように思えて
「違うっ…!」
俺は必死に叫んでいた。
「……今度はきっと俺が…っお前を置いていく…っ」
もうお前を悲しませたくない…。
ともえを失った時、ただ苦しくて…痛くて…。
心だけでなく体までもがバラバラに引き裂かれ、消えてしまうんじゃないかと思えるほどの、あの痛みと苦しみをバニーに与えるくらいなら…。
「俺は、…お前にあんな思いさせたくねぇんだよ…!」
出口のない暗闇に、ひとり投げ出されたような…。
冷たくて苦しくて…見渡す限りの孤独と絶望に、じわじわと押し潰されていくあの感覚。
思い出しただけで、また潰されそうになる…。
「俺は、楓がいてくれたから、なんとか立ち直れた…。でもお前はっ…」
両親もいない、そしてこの前まで親代わりだったマーベリックもいなくなった…。
支えてくれる人がいなきゃ、きっとお前は倒れちまう。
「俺はっ、もうこれ以上…、お前には何かを失って欲しくねぇ!
色んなものを貰って、与えられて…。
そういう人生をおくって欲しいんだよ…っ。」
伝えたいことを一気にまくし立てた虎徹の言葉は、まるで悲鳴のように、懺悔のように、…バーナビーとの間で反響した。
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