たいばに。

□A HAPPY LIFE……? 1
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最近よく、自分だけ時間が止まったままだと思うことがある────




「おはよう、ともえ。」

シュテルンビルトの朝。
もうほとんど日課と化した返ってくるはずのない挨拶を、虎徹は今日も写真の中で優しく笑う女性に投げ掛ける。
時刻は9時。
いつもなら、寝起きでぐしゃぐしゃのパジャマ姿でいる時間帯だが、
今日はいつもの私服をしっかりと着、
髪型もいつも以上にピシッと決めている。

そして手には朝の光でより一層白く輝くクチナシの花が、6本ほど花束になって揺れていた。

「今日は晴れてよかったよ。さすが晴れ女だな。」

口元を緩めながらそう語りかけると、写真の女性の顔を指先で静かに撫でた。

(…なぁ…ともえ…、今日は話したいことが沢山あんだ。…ちゃんと聞いてくれな?)

そうしてしばらく物思いにふけっていると、手首の腕時計が9時10分を指す。

「おっと、そろそろ出ねぇと…。
…じゃあなともえ、また後で。」

多少の焦りを感じながら、写真にキスを落とす。
そしてそれを棚に置くと、お気に入りのハンチング帽を被り虎徹は玄関を出た。



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