たいばに。
□あなただから…僕はナイタ──
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だいたいを見せ終わった後、おじさんは「大丈夫、必ず見つかるさ。」といつものように力強い目で言った。
いつもなら宛にならないとバカにするのだが、
その時の力強くも優しさを含んだ表情に、僕はなんだか泣きそうになった。
「なぁ、バニー。」
「な、なんですか。」
なんてセンチメンタルな事を考えていると、
いきなりおじさんが呼び掛けてきたので、
泣きそうになったのがバレたのかと少し焦ってメガネを指で直した。
「ちょっと飲もうや。」
だが、そんな様子は全くなく、おじさんはへらっとした顔でシャンパンのビンを傾ける。
なんだ、と安堵しながらもそんなに飲んで傷は大丈夫なんですか。と先程から飲んでいるおじさんをたしなめる。
が、大丈夫大丈夫。と全く聞く耳を持たないので、仕方なくおじさんの近くの床に腰を下ろした。
「あ、椅子とっちゃって悪いな。」
「いいですよ、怪我人なんだから大人しく座ってて下さい。ただでさえもう年なんだから。」
「うるせぇ、最後のは余計だっつの。」
いつものように軽口を叩いくと、シャンパンの入ったグラスで乾杯する。
それから何杯か飲むと、おじさんが笑いながら、
「こうやって二人で酒飲むのもなかなかなかったよな〜。」と言った。
そこから会話が広がり、酒が入っているからか、いつもの何倍ものおしゃべりをした。
自分の事、相手の事、他のヒーロー達の事、好きな事から嫌いな事、これからの事……
もう何を話したか忘れる程沢山の話をした。
だが、そういうオープンになっている時ほど、相手の触ちゃいけないところまで、無意識に触れてしまったりするもので…。