月光
□story.1
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薄暗くなった路地裏に一人の小さな少年と四人の青少年、その周りには体格の良い男が数人倒れている
「テメェがこいつ等、倒したのか?」
四人のうちの明るい茶髪の男が少年に問いかける
「…」
その銀髪の少年は表情を何一つ変えず、目の前の四人の方を見る
右目が前髪に隠れて見えない。見える左目は綺麗な水色をしていて、感情が全くなく、ガラス玉のようだ
「お前が倒したかどうかを聞きたいだけだ」
天パのブロンドの少年が穏やかな声音で付け足す
「…キミもオッドアイなんだね。カラコンしてるようだけど」
銀髪の少年が発したのは男にしては高い、けど澄んでいてキレイな声だった
「なんでわかった?」
「視えただけ。いろんなのが視えるよ」
無表情なのに奇妙な程、音楽を聞いているように軽やかに奏でられる
「…テメェも同じか」
茶髪の男が複雑だけど嬉しそうに云う
「?」
「大丈夫だ。俺達もテメェと同じだ。ついて来ないか?俺達と一緒に」
そう云って銀髪の少年に手を差し伸べる
そんな彼等を月の光だけが照らしていた