【小説】

□深淵の闇に融けた
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「っ!?………ギラ……ヒム?」


じわじわと 流れていくものに
リンクは 顔を歪ませた


目の前にいる 人物は確かにギラヒムだった


不気味に笑う姿は たしかにリンクの目に焼きついていたのだ










「ギラヒム?いるの?」


古びた扉を 両手に力をいれ
リンクは開けた


ぎぎぎ…と
扉はひとりで閉まると
リンクは 部屋の中央にたちつくした


いつ見ても 不思議に思っていた 一度も見たことがない
景色なのに 見覚えがあった


これも ファイの言っていた言葉の通りだと…


自分は 遠い昔に 《勇者》だった

覚えがないのは 当然のことである


なんて ことを考えていたリンクだったが


後ろから なんとなくだが
ギラヒムの気配が するのは
気のせいではなかった


「いたのなら 声くらいかけてよ!!」


振り向くと ギラヒムは“いた”


しかし どこかおかしかった


「どこが?」と聞かれたら
返事には困るが


全てが 変わっていた





危険を感じた リンクは後ろに
下がったが


それを 追うかのように
“ギラヒム”も またじりじりと リンクを追い詰めていった


ひやりとした 壁がリンクの背中に当たったのを感じた


逃げれるはずも 無く


リンクは 背中にある
マスターソードに手をかけた…










「はあ…はぁ…はぁ……」


乱れる呼吸を 必死に直し
立ち上がろうとする リンクだが 剣を向けられ


ただ うなだれるしかない


「…………マタ…アノショウジョヲニガシタ…」


「………っあ!?」


ギラヒムの剣の 矛先が
リンクの腹部に 向けられた


「………オマエガ…ジャマヲシナケレバ…マスターヲ…」



「っ!!」


一瞬にして…


その剣は リンクの体を貫いていた


悲鳴をあげることなく
痛みもなかったが


溢れだす血に
リンクは 一瞬意識がなくなりかけた


じくじくと くる痛みに
歯を食いしばりながら


《ギラヒム》が助けに来てくれることを祈った










「……………」


「………また、影が暴走したのか…」


死人のように 眠るリンクを見て ギラヒムは 優しく頭を撫でた




「ククッ…アンタは弱いよな!!影を暴走させて しまいには 大事な大事な恋人を失いかけた… 笑える話だなぁ!!」


「…………っ」


「反論できるわけないよなぁ!!オマエも 結局はリンクを殺すために生まれた 兵器⇔魔物なんだよ!!だから、リンクを失いかけた!! ククククッ…」
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