トリップと合宿編

□悲しい歌とともに・・・
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『ダメだ・・・何も思い出せない』


私は記憶喪失になってしまったらしい・・・


大切な記憶を取り戻したくて、思い出すけど・・・思い出せない。


『なんで思い出せないのよ・・・!』


怒りがこみ上げてくる。


だけど今はマネの仕事中、先輩に気づかれないよう心を静めようとする。



あ「加奈、大丈夫?」


『あ、藤崎先輩。すみません少し考え事をしていたものですから』



あ「藤崎じゃなくてあやかって呼んでよ!!」


私は戸惑いながら


『あやか先輩・・・・・・?』


そう呼ぶとニッコリ笑ってありがとう、と言われた。


心になにか暖かいものを感じた。


触れてみるがなにもわかんなくて不思議だった。


梨「加奈ちゃん、ドリンク配りに行きましょう!!」


『あ、はいっ!今行きます!!』


あやか先輩のもとを離れて宮下先輩のところへ向かう。


先輩の表情は切なくて瞳は悲しい色をしていた。


『宮下先輩・・・?どうしたんですか??』


すると、いきなり抱きつかれて先輩は泣き出してしまった。


梨「私・・・嫌だよぉ。忘れられたくない・・・忘れないで。一緒にいてよぉ・・・」



忘れないで―


だけど、私は忘れてしまった。


『ごめんなさい、頑張って思い出しますから待っててくださいますか?』


小さく頷くと声を出さずに泣く。


そんな私の頬にも涙が通る。


『先輩・・・また、名前で呼んでいいですか?』


梨「えっ・・・またって、少し思い出したの?」


あれ?私今なんて言ったの・・・?


『たぶん、昔の私が話したんだと思います・・・』


私は喋っていない・・・ということは昔の私が・・・記憶をなくしていなかった私が話してたの?


梨「そう・・・でも、少し安心したわ。記憶が少しずつ戻ってるのね・・・」


記憶が少しずつ・・・?


すべて戻るのに私はどうすればいいの・・?


梨「さぁ、行きましょう。みんな喉が渇いているかもしれないから!」



『はいっ!!』


そうして私と梨香先輩はドリンクを配りに行った。
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