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_ーGood・Guy's1ー
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「これで五人目か……。」
濃紺のスーツを着こなす、九目長史(くもく ながふみ)は眉を顰め呟く。
四十を過ぎた男の苛立ち。それは犯人逮捕に全力を挙げているにも拘わらず、未だその糸口すら掴めずにいる現状にあった。
住民に責められ、上官に責められ、マスコミに責められ、そして自身が自身を責めていた。
連日起きる殺人。
犠牲者は皆、包丁のようなもので何度も刺されて殺されている。
中には顔が潰されていた遺体もあった。何度も刺されてだ。
彼らの年齢性別身元も様々。ウォーキング中の女性が狙われた次の夜には、暴力団の男が襲われている。
手当たり次第に遭った人間を殺している。
(同じ人間の犯行とは思えないな…。)
殺人鬼に対する嫌悪
や怒りが、長史の拳を堅く握らせる。
「異常だ…だからこそ、何としても……!!」