Gift
□冬の とある、物語。
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「ちっ…俺としたことが……しくじったな…」
まだ たった6歳のベジータは、ポットから降りながら、静かに呟いた。
ーーまさか、ポットの行き先を間違えるとはな…
「…それより…ここは何処なんだ…? 青い大気で、生命反応は小さいが……」
…まあ、何はともあれ、ナッパとラディッツに連絡するか
ベジータは そう思いながら、スカウターを通信機能に切り替えて、ナッパらに連絡しようとした。
だが、
「……距離が遠すぎて、連絡できないなんて事あるのか…」
惑星ベジータの技術であれば、こんなことは無いだろうな。とベジータは思う。
でも その惑星は、もう無いーー
しかし、そんな事を考えても過去は変わらない。
それに、自分らしくない…
そう思っていると、
「…おにいちゃん、だぁれ?」
「………は?」
ベジータの目の前に、スカイブルーの瞳と髪をした、小さな女の子が立って居た。
「だぁれ? どうしたの…?」
「えっ……;」
ベジータは、戸惑ってしまった。
何故なら彼は、とても幼いときから、フリーザ軍で育った。
軍には、滅多に女や子どもはいない。
だから、“女” や “子ども” を、見たことも、知ることもなかったのだ。
「私はね、おとうさんが いっつも乗ってる、小っちゃいバイクに ためしに乗ってみたら、途中で そうじゅうできなくなっちゃって、ここにいるから…迷子なの……」
そう言うと、少女は ふぇ…と泣き出してしまった。
ベジータは、またしても少し戸惑う一方で、少女に問いかけた。
「………なぜ、」
「ふぇ……?」
ーー『なぜ、おまえは、泣く?』と…
ベジータには、少女が悲しむ理由が分からなかったのだ。
彼は小さい頃から軍に居て、感情を出すことも、思うことさえも、許されなかったからーー。
「……寂しいからだよ」
「…寂しい?」
「おとうさんと おかあさんが居ないと、寂しいでしょ?
だから…」
「……そうか」
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