Travel

□東方伝記9
1ページ/4ページ




森林の木々が赤や黄色と鮮やかに染まる頃




鄭家での仕事をいつも通りにこなす私に




急に身体の異変が襲った




















台所で釜のご飯の湯気を浴びた途端







何か込み上げてくるのを感じ、その場で口を押さえてしゃがみこんでしまった



















「瑠美!?どうしたんだい?顔が真っ青だ」



「いえっ…大丈夫です…っ」



「大丈夫じゃないよ!少し部屋でやすむといい。ここはあたしらに任せとき」



「…すいません…」













フネさんが私に気付いてひどく心配し、体を休ませるように促した












そういえば
















ここ最近


月経が来ていない


















私は厠に小走りで向かい、一気に胃液を吐き出した




涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃになりながら嗚咽しているところに













タイミング悪くジヨンが入ってきた


















「ちょっと、瑠美!大丈夫!?」



「うっ…、おっ、奥様…」



「とりあえず部屋に行きましょう!!横にならないと」




















ジヨンは私を介抱しながら、部屋に連れていってくれた







そして


すぐに布団を敷き、私を寝かせてこう言った













「…今、粥と水を持ってくるから。このまま安静にしてなさい」



「奥様…、本当に大丈夫ですから。心配なさらないで下さい」



「いいえ。瑠美は彼の大切なお友達。私にとっても大切な人なのよ」














ジヨンは私に笑顔を向けてきたのだが



振り返って部屋を出ようとした時には既に笑っていなかった












聞かなくても












私の症状を見て何が原因が分かっているから






唇をギリッと噛みながら、誰も近寄れないような禍々しい表情で部屋を後にする




.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ