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□東方伝記8
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その頃
ジヨンはユノのいない寝室で一人
中々寝付けずにいた
「…あぁもぅ。この私を放っておいて、夜を明かすなんて。…………そうだ、瑠美はまだ起きてるかしら?」
一人でいるのは寂しい為、話し相手になってもらおうと
干し柿を包んで瑠美の部屋に向かった
何も知らないジヨンは
瑠美の部屋の前に辿り着くと
確認もせず勢いよく襖を開ける
━ガラッ
「瑠美っ。眠れなかったから少し…━━━━━━━━━━」
しかし
そこにいるはずの瑠美の姿はない
部屋はもぬけの殻
「……まさか」
ジヨンは妙な胸騒ぎを覚え
その場にボトッと包んだ干し柿を落とす
落とした反動で、何個か中身が無造作に転がっていった
血相を変えたジヨンは
そのまま急いでチャンミンの部屋に向かう
チャンミンの部屋が見えてくると
何故か部屋の明かりはついていないことに気付き
余計に不審に思ったジヨンは
息を殺して静かに近づき
音を立てずに少しだけ襖を開けた
「……っっ!!!!!!!!」
部屋の中の様子を見てしまったジヨンは
驚愕の事実に目をそらせない
同時に
怒りに似た感情が芽生え始め、体をワナワナと震わせた
━何故?
あなたは
妾は一人も作らないと言っていたはず
それに
どうしてこの女なの?
大切な友達と言っていた相手を何故抱いているの?
私に隠れて愛を育んでいたの?
いとおしむような優しい瞳
快感に酔いしれる表情
あなたからそんな眼差しを私は一度も向けられたことがない
あの日だって
私を抱けなかったくせに
あれから手も出してこない理由は
この女のせいなのね
この私を侮辱するなんて
絶対に許せない
私はあなたから
大切なものを奪ってやるわ
.