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□東方伝記6
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季節は春から夏になり



照り付ける日射しも強くなった





離れにある道場では




ユノとチャンミンが汗を流して稽古をしていた













「はぁはぁっ!!チャンミン!!また腕を上げたなっ」


「はぁっ…!それでも旦那様には勝てないですよっ。はぁはぁっ」













ユノは鄭家一の剣の使い手なので



家臣達は練習相手にさえならなかった




そこにチャンミンが入ってきて



メキメキと短期間で頭角を現し




今では唯一ユノの練習相手になっている









「少しっ…休憩しようか」












ユノがチャンミンを道場の縁側に行くように促し



用意しておいた茶を二人はゴクゴクと喉に通した




手拭いで滴る汗を互いに拭き、道場の扉を吹き抜ける風に涼む














「最近、どうですか?」


「ん?なにがだ?」



「奥様とですよ」



「ジヨン?…まぁ変わらず仲良くやっている」






















「夜もですか?」



「…っ!…何が言いたい」
















いきなり夫婦間の話を突いてくるチャンミンに


ユノは少し苛立ちを感じて声を奮わせた



いくらチャンミンでも、失礼にあたる質問だと思ったからだ






















「嘘つくの、疲れますよね」



「いい加減にしないと、己の口を引き裂くぞ」



「素直になったらどうですか?まだうちの妹の方が、気持ちに素直ですよ」



「…っ!!」













チャンミンはスタッとその場に立ち



竹刀の先をユノの顔の前で寸止めして言いはなった





























「貴方の心の中にいるのはジヨン様じゃない。僕の妹だ。…好きなんでしょう?瑠美のことが」
















余りにもストレートで



真っ直ぐ過ぎる言葉に






































ユノは素直に頷くことしかできなかった




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